第99話 パラレルの別世界

 俺は、お礼がしたいと思い、パラレルの別世界を作り出すことにした。


 俺の現実というのは、実のところ「本当の現実」なのかは自分でもわからなかった。俺に実際に会う人はみんな、想像してたのと違う、と言う。


 俺がそんな殺伐とした世界に生きているように見えないんだ、と。


 悲惨そうに話すけど、全然そんなふうに見えない、と。


 鏡を見た時に、いつも俺はショックを受けた。鏡に映る俺は、そんなに苦しんでいるように見えない。なぜだろう。こんなに苦しいのに。


 一度だけ、鏡に映る俺に、死相が見えたことがある。たった一度だけだ。


 その時は、悪魔に魅入られていた。自分でもわかった。自分が助けたいと思った人、でも俺は去った。いや、向こうが去ったのかもしれない。


 今回、たくさんの人に助けられたのと同時に、うさぎちゃんにはお世話になった。それで、俺は、「幼い頃、すごく怖いことがあり、そこから自分が穢された気分が消えない」ということについて、何か助けになるように、新しく世界を作った。


 俺が書く、こういう方法で、どうか過去の傷が癒えますように。


 俺はもちろん、書いていることを知らせたりしないが、世界というのは繋がっていて、どこかで木の葉が、はらりと地面に落ちることさえも、地球の裏側では連動して何かが変化する。


 俺の現実というのは、俺の中の砂漠のようには一見見えないらしいが、俺の住んでいる世界は一つじゃないから、また別の世界と繋げれば。


 俺の現実は多様性があるから、実はそんなに苦しまなくてもいいのかもしれない。俺は死ぬことを怖がってないように見える、と、うさぎちゃんはそうメッセージに書いたが、俺にとって、生きてることも、死んでることも、そう変わらないんだよ。


 痛いのは苦痛だから、嫌だけどね……


人が苦しむのを見るのも、嫌だけどね……


 「誰も知る人がいない世界」を勝手に繋げていけば、結局のところ、生きてるのも、死んでるのも、そう変わらない。


 うさぎちゃんが「栄養失調になっててもおかしくないので、もっとたんぱく質や野菜、フルーツを意識して摂取してください。炭水化物に偏ってます。ご飯の量も少なすぎるし、水もゼロなんて少ない、コーヒーやお茶でなく、水を一リットルは、毎日飲んでください」と。そう言われて、俺、初めて気づいたよ。


 俺一応、体持って「生きてる」から、何か食べないといけなかったことについて。寝たり食べたりするのが、そこまで大切なことだとは。


 別に実際に誰かが、抱きしめてくれたわけではないけれど、俺は確かに、抱きしめられた。俺は目に見えない世界に詳しいから、いろんな影響を受けるが、今回は、たくさんの見えないもの、こんな言葉は陳腐だから使いたくないが、簡単に言えば「愛」のようなものに触れた気がする。


 俺はとても敏感で、ネガティブなことも感じるが、もちろん逆にポジティブなことにもとても敏感だ。

 

 なぜ俺は今回書こうと思ったんだろう。多分、もし死ぬなら、今しか書く時がないと思ったからだ。先にはもう延ばせない、と。


 俺は推敲したり、見直したりほとんどしないが、何のために書くかというと、死ぬ前に遺すことが必ず必要だから。


 まだまだ先だと思っていたが、うさぎちゃんが「もし死ぬとするなら、後悔がないように、優先順位をつけて、最もしたいことからやってください。もし癌なら、数ヶ月もないから」と。


 俺もそう思った。それから、俺が最後に何をしたいかというのは、美味しいものを食べたいとか、旅行に行きたいとか、女と寝たいとか、そういうことじゃなかった。(うさぎちゃんと寝たいから出発して書いてて、それはちょっと矛盾してるか。苦笑)


 いや、それは冗談です。ちょっと言ってみたかっただけ。そう言ってみることによって、たくさんの人に抱きしめられた気がします。


 自分がどれだけ孤独に苦しんでいるか、そういうことをネットの誰かが、こうやって読んでくれて、理解してくれたんだろう。


 そして、カウンセリングや心療内科に行け、というアドバイスは当たっていたと思う。それは後で書きます。


 いろんなことのお礼、それから、辛抱強く付き合って、ここを読んでくれている人にもお礼がしたくて、「殺伐としてない俺の現実もある」ってことを知らせたかった。


 多分、そっちの方が本当の俺なんだよ。書いてて恥ずかしかったけど、(俺はロリコンじゃねえから)、本当に恥ずかしいんだけど、俺が実際生きてる世界って、本当に、ただ風が吹いてるような場所なんだ。


 具体的なことなど、何も存在しないような。


 孤独でもいいのかもしれない。なぜ寂しくて仕方なかったんだろう?


 二人の方が、一人よりも寂しい。


 俺はそういう経験をよくするが、あまりに生きている世界が、かけ離れてる二人が一緒にいようとすると、そうなるのかもしれない。

 




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