第30話 もし、本当に不味かったら。


 昨日電話して「なんかまずそうだ、もし本当なら、俺、このままでいいから」と母さんに言った。


01母さんは「戻って来なさいよ。誰があなた、動けなくなったら見てくれるの?」と言った。


俺は、でも帰ったら、もう2度とこっちには戻れなくなる、と言った。


 俺さ……最後、BとJさんの近くがいいんだ……


母さんは「岬、あなた自分勝手、Bさんに迷惑でしょ」


 母さんは、Bさんに言いなさいよ、と言った。帰って来なさい。


俺はBに言った。



なあB…


もしかして俺、今度こそ死ぬかも。


 Bは笑った。またお前、死ぬ死ぬ詐欺かよ。


Bはシステム春江、と言って笑った。俺のばーちゃんの名前。


 俺のばーちゃんは、いっつももうすぐ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ、そう言い続けて、びっくりするくらい長生きしたから。


 B、なんで俺のばーちゃんのことまで詳しいんだよ。意味不明だよ。


 Bは俺と似てて、本当に物事をよく分析するって言うか、深く見つめるほうだ。


ズバリ、Bが呟くことを聞いていると、ほんと俺は……


俺は気付いたら泣いてて、Bに抱きついた。


 それから、俺は食卓にサラダを出した。Bってさ、料理能力ゼロなわけ。俺が毎回作るんだよ。


俺は言った。


 なあ……B……お前さ、結婚とか、相手見つけろよ。


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