第6話 俺のうさぎちゃん……。  

 

 俺の目が釘付けになったのは、うさぎちゃんのプロフが、ウサギのように怯える目でこっちをじっとみてたからだ。


 かわいい……


 あんなことやこんなことをして、啼かせてみたい……


 痛み……


 ギリギリの甘い痛みに歪む顔が見たい…



はーあ……。


俺は天井を見つめた。何やってんだろ、俺。


チャットのセックスが、リアルのセックスより、ハードル低いわけないだろ…。


俺、もしかして、生身の女とはできないのかな……


俺って、もしかしてチキンなのか?


そうかもしれん。


 こんなにやりたいのに、実際の女と対峙すると、なんかが違うと感じてしまう。それってなんなのか。


 単に俺が経験不足だから?

 

 女を目にすること自体が、生活の中で少ないから?


 たまに見かける女も、なんか違うと感じることが多い俺。なんていうか、ケバいっていうか、不潔っていうか、生身の女って、どこか厚かましいっていうか……そうでなければ、芋くさい。よくわからないが、何かが違う。


生身の女って……母やおばさんは綺麗なんだが、綺麗な女はなんつーか、まあおばさんはどうか知らないが、なんか計算高い。


 綺麗な女って、「自分を綺麗に見せたい自己顕示欲」に溢れてて、それが俺にはアレルギー。


兄貴が連れてくる女も、どこか、なんか……そういう感じなんだよな。末は医者、大きな病院の後継者、玉の輿逃してなるものか、的な……なんか必死さが嫌だ。なんか純粋さを感じないんだよな。


 俺は、兄貴の部屋や車に残る、むせ返るような香水の匂いを思い出した。臭いんだよ。マーキングじゃあるまいし。


自己顕示欲の強い女たちの残り香。俺は目を伏せた。……俺の周りって、一体なんなの。


 電車で見かける女子高生も、汚れて見えるんだよなあ……。理由がわからなかった。なんだろう、週替わりで読み捨てる、漫画雑誌みたいな感じなんだよな。


 すっごくきちんとした、清潔そうな、清純そうな子だったら、違う気がするんだがなあ……。




 それにしても、さっきは思わず引いてしまった。俺は「専用ルーム?ちょっと驚いちゃったよ」と書いた。


 女がちゃっかり俺を金ヅルだと思ったところに、ドン引きした。


「悪いけど、専用ルームって、俺そんなに金落とせないけど?」


書きながら、500円ってどれだけ安いんだよ、と思った。なんつーか、いろんな意味で最低な気がした。


500円でセックスまで持ってこうとする俺って、なんなの。


いくらなんでも、500円で身を売る母って、世も末なんじゃないか。


 俺は、何もかもがダメな気がした。ダメな世界に生きているダメな俺。何がしたいのだか、さっぱりわからない。

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