第18話 じょしかい
ファミレスにて。
今日は、里奈に誘われて一人で来た。
彼女は前に身を乗り出し、私に尋ねた。
「ねぇねぇ、それでさ、どう?
ゆーくんとは?」
渾名が変わってる...
突っ込むべき所はそこじゃない。
「仲良くやってますよ…?」
「もしかして、告った?告った?告白した?」
執拗く聞かれる。
(この前の夜の事は告白なんですかね?)
一旦、メロンソーダを口に含む。
「いや...、ユイトの方から...」
小声で言う。
「それマジ?逆告白!?ヤバくない?ヤバくない?え、オッケーしたの?」
何がヤバいのかよくわからない。
「まぁ、私も気持ちは伝えましたけど...」
「うあー!カップルじゃん!青春じゃん!はぁぁ...」
里奈が何故そんなに嬉しそうにして言うのか、不思議だった。
「...水俣?」
久しぶりにその名前で呼ばれた。
ハッとなって、右を向くと長めの髪の
女子が立っている。
(あれ...、誰?)
「同じクラスの京ヶ瀬真希...」
「へぇー、はーちゃんと同じクラスなんだ」
里奈は他人事の様に言った。
「...てかあなたも水泳の授業で一緒だったでしょ!」
「覚えてないよー...」
(...けど、こんなところで会うなんて奇遇ね…。結人は絶対私の物だって主張しないと...)
一旦席を離れた真希は再び博士と同じテーブルにつく。
里奈の横に座った彼女は直ぐに口を開いた。
「それで...」
(待って、何て言えばいいんだろう。
私、結人が好きって単刀直入に言う?)
「それで、何ですか?」
博士は尋ねた。
「あのー...えーっと...
ゆ、結人君とは仲良いみたいだけど、どのくらい仲が良いのかなぁなんて...」
「結人とはーちゃんはもうカップルだって!」
ケラケラ笑いながら真希の肩を叩いた。
「...は?」
「リ、リナ!余計な事を大きな声で言わないでくださいよ!」
(この女...、もう常に...)
嫌な想像が思い浮かぶ。
「逆告白されたんだってさ。ヤバくない?ヤバくない?」
「はは...、確かにヤバいね...」
(結人がコイツに告白を?)
この時真希の中では怒りがグツグツと煮え始めた。
博士は両手で顔を覆う。
「ちょっとまだ...、結人も何処まで本気かわからないですから、他人に言いふらさないでくださいよ...」
「あー、ごめんごめん。でも好きなのは事実だよね」
「えっと...、んまぁ...」
(おいっ!)
急に虫唾が走った。
(結人は...!結人は私の...!)
(許さない...)
真希はグラスを持ち立ち上がった。
「ごめん、用事を思い出したから」
そして、黙ってその場を去った。
「...」
「変な人だねぇ」
それから一週間後、夏休みが開け、
学校が始まった。
登校した当日に、下駄箱を開けた。
何やら白い封筒が入っていた。
(なんですかね...)
その中には、1枚の写真。
(...!!)
「おい、どうした?」
後ろから結人に声をかけられ、ビックリした。
「い、いや!なんでも....」
「そう?」
「さ、先に行っててください!」
「あ、うん...」
結人を先に行かせた。
(...ユイトに見つかったらまずいのです)
その紙を折り畳み静かにポケットに仕舞った。
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