第15話 しんやてんしょん

「ゆいと~...」


俺は、博士に起こされた。


「ふぁ...」


俺は欠伸をする。


「なんだよ...、今何時だよ...」


ぼんやりしながら時計の時刻を見た。

デジタル時計は午前1時40分を示していた。


「寝ようぜ...、目閉じなよ...」


「なんでですかぁ...」


博士はわがままな声を出す。


「元々私は夜行性なのです...、

寝れないのです...」


「何だよ、お前ずっと寝てたじゃんか...」


俺は眠い。

寝かせてほしい。博士に揺さぶられながらそう言った。


「お願いです...、ねえ、起きてくださいよお...」


「もう...」


博士のわがままが五月蝿いので俺は目を覚ました。


(まあ...、なんかしてればそのうち眠くなるか...)


「で、どうすんの?夜中じゃ友達寝てるしテレビは既に砂嵐だよ?」


「そうですね...」


博士は腕を組んだ。


「んー...、うーん...

賢いのでアイデアを出すくらいちょいなのですけど...、ん」


「あいっ!?」


ウトウトしていた俺を博士が叩いた。


「ちゃんとユイトも考えるのです...」


「か、考えてるよ...」


本当になにも思いつかない。

どうしよう。


暗い部屋の中、お互いに黙り込む。


(そうだ。ここは深夜テンションで行こう)


まともに働かない俺の頭はそういう判断をした。


「博士」


「...はい?」






俺はベッドに仰向けになる。


そして、人間体だが博士が俺の上に覆い被さる。


「た、食べないでくださーい!」


「食べないですよ!」



・・・・・


「はっ...、はははは...」


「...ふふっ」



あー、くだらね。何してんだろう。


二人で横にくっつき上から毛布を掛ける。


なんの意味もない


「ユイト」


「ん?」


「私のこと、どう思ってます?」


“今日は”、深夜テンションだ。


「大好きだぜ」


博士は少し嬉しそうだった。


「わたしもっ!」


俺の右腕をギュッとした。


酒は飲めないので酔いの勢い...、ではなく、深夜の勢い。

彼女は賢いのでそれを察した。と思う。


「俺と結婚したい...?あっ、意味わかんねーか」


もうどうにでもなれ。


「賢いので知ってます…」


「ホント?強がりだよなぁ...

要するに、俺が父さん、博士が母さんになるんだよ」


言葉の前に沈黙を必ず置く。


「いいですよ...、私がユイトの奥さんになっても」


「はははっ...」


深夜テンション...、だよな?


「でもパーク戻っちゃうしな...

俺が行ければなぁ...」


「...もしユイトが来るなら私は歓迎するですよ。助手はなんとか説得しますから、図書館で暮らしても...」


「他のフレンズを俺が好きになったらどうする?」


「...いじけてやるのです」


言うことが幼稚っていうか...

レベルが低い。


「そう...。まあ大丈夫だよ。俺は」


そして、卓上の時計を見る。

1時48分だ。


「どうしよっか」


もうすぐ寝られるだろう...。


「...一緒に、お風呂はどうですか?」


本当に深夜テンション...だよね。


「い、いいよ?」


深夜テンションだ。そうだよ。

親に気づかれないよう、慎重に用意をした。


一番最初に出会った時は、何か変な感じだった。


だけど今は不思議と...、大丈夫そうだ


深夜テンションだからかもしれない。


前は悪戦苦闘してたが、今は楽にパジャマのボタンを外し、上着を脱ぐ。


やはり...、人間体はまな板だ。



一緒に入る。給湯器の時刻は2:10。

今回は、隔てるモノは何一切ない。



「そうだ。結婚は、俺が大人になったら...ね」


「待ちますよ。それまで」


深夜テンションだ。

そんな本当にやる訳...

どこからが冗談でどこからが本当だろう?


深夜酔いしてしまった。




「ところで...、しなくていいですよ?」


「えっ、いや...、それは...」


「やりましょうか...?」


「でも...」


「私は賢いんですよ?それに将来、

ユイトと結婚するんだったら...」


「い、今?」


「シーッ...、深夜ですよ」









そうだ。深夜テンションだ。

開き直ろう。


何もかも、全て。


そして、いつもと変わらぬ朝を迎えた。

俺はぐっすり寝られた。

博士も大人しく静かな寝息を耳元で立てる。言っておくが、因みに何もしていない。ここ重要だから、覚えとくように。


「おはよう、博士」


「おはようです」


顔を見合わせた。


彼女は優しく微笑んでくれた。

将来の花嫁に相応し...


どうやら、二日酔いみたいだ。

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