第5話炎の大地

こなごなになった本のかけらを前にエリザは無気力にトボトボと歩くだけだった。


林に隠れて、”黒い悪魔”の攻撃を逃れる。


エリザの瞳は沈鬱と絶望の色に変わっていった。


お父さんとお母さんは無事だろうか?


見るも無残に形を残さない分校を見て、エリザはやっと悲しみの感情が湧いてきた。それはおじいちゃんが亡くなった時並みの沈鬱ちんうつさだった。


森は炎に包まれていった。


ここはもうかっての自分の住んでいた村ではなく、土のかたまりだった。


それでもエリザは涙の出ない自分は残酷な人間なんだろうかと頭の隅で感じただけだ。


2018年(H30)6/4(月)

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