第20話 サブクエスト

名前:コチ

種族:人間 〔Lv1〕

職業:見習い〔Lv10〕MAX

副職:なし

称号:【命知らず】【無謀なる者】【兎の殺戮者ラビットジェノサイダー

記録:【10スキル最速取得者〔見習い〕】

HP: 200/200

MP: 200/200

STR:10(+3)

VIT:10(+5)

INT:10

MND:10

DEX:10

AGI:10(+1)

LUK:97

〔装備〕

見習いの長剣(S+3)

見習いのシャツ(V+2)

見習いのズボン(V+2)

見習いのブーツ(V+1・A+1)

スキル

(武)

【大剣王術1】【剣王術1】【短剣王術1】【盾王術1】【槍王術1】【斧王術1】【拳王術1】【弓王術1】【投王術1】

【体術2】【鞭術2】【杖術2】【棒術2】【細剣術2】【槌術2】

(魔)

【瞑想1】【魔法耐性1】【詠唱短縮】【連続魔法】

【神聖魔法1】【火魔法2】【水魔法2】【風魔法2】【土魔法2】

(体)

【跳躍2】【疾走2】【頑強2】

(生)

【採取2】【採掘2】【釣り2】【料理3】【調合3】【調合(毒)2】【錬金術1】【鍛冶2】

(特)

【罠設置1】【罠解除1】【罠察知1】【気配察知1】【気配希釈1】【人物鑑定1】【植物鑑定2】【鉱物鑑定2】【看破1】【死中活1】 

 



<グラスラビットの肉×1

 グラスラビットの毛皮×1 を入手しました>


 やった……やっと五個目の普通の毛皮・・・・・が。長かったなぁ、狩りに半日ずつ割いて一週間もかかった。

 倒したグラスラビットの数は最終的に200羽を越えた。そして100羽を倒したときに【兎の殺戮者】の称号をもらってしまった。


兎の殺戮者ラビットジェノサイダー

 兎種の同種魔物を続けて100羽倒した者に与えられる称号。

効果

 兎種の魔物に対して特効。兎種のヘイト上昇。


 く、兎さんたちに恨まれました。いまでは、こっちから攻撃しなくても向こうから特攻してくるようになっています。まあ、お陰で後半は倒す時間も、探す時間も短縮されて助かったんだけど……ただこれはゲームバランスとしてはどう考えてもおかしい。私は意地になって集めてしまったが、さすがにバグとして運営にメールしておこう。


 あとは兎を探し回っているうちに【気配察知】と【気配希釈】を覚えた。本当はこういう覚え方をするものじゃなかったと思うけど、覚えてしまったものは仕方がない。凄く役に立つし、勿論文句はない。

 

 レベルも当然職業レベルはカンスト。ただ、チュートリアル中に種族レベルは上がらないようで、これだけ兎を倒しても1のままだった。どうやら時間が加速されているチュートリアルで、レベルを上げまくってからスタートというのは出来ないらしい。

 それと、初級に分類されるようなスキルのレベルが軒並み2に上がっていた。〔見習い〕はスキル熟練度は上がりにくいので、これはほとんど称号の【10スキル最速取得者〔見習い〕】の効果によるものだろう。スキルが増えていくと、全部を鍛えていくのは厳しくなるはずなので、この称号はとてもありがたい。多分レベルが上がっていくにつれて、称号があってもなくても変わらないくらいの効果になっていくのだろうけど、最初の頃は重宝しそうだ。


 とまあ、ステータスの確認はこのくらいにして今度こそクエストを達成しにいこう。



◇ ◇ ◇


「はい、ご苦労さん。ようやく達成ね」

「疲れました……しばらく兎は見たくないです」

「……でしょうね。でも白毛皮は外でそこそこの値で売れるから無駄にならないでしょ」

「ですかね」


 インベントリの中には白毛皮が100枚以上ある。肉の方はおかみさんに料理の講義代として一部渡して、一部は私の料理の練習台に使わせてもらって、完成した料理は街の人たちにおすそ分けしている。夢幻人がいる間は飲まず食わずでも問題ないらしいが、食べられるのは嬉しいみたいで街の人たちだけでなく、いままで出会った動物たちにも意外と好評だった。

 それでもまだまだ使い切れない肉がインベントリを圧迫しているけど。


<チュートリアルクエスト7『冒険者ギルドで依頼を受けよう』を達成しました>

<報酬として100Gを取得しました>

<サブクエストが発生しました。

チュートリアルクエスト8~10はキャンセルができます>

<チュートリアルクエスト8『農業をやろう』が発生しました>

<チュートリアルクエスト9『畜産をやろう』が発生しました>

<チュートリアルクエスト10『道具を作ろう』が発生しました>


 お、無事にクエストを達成できたらしい。しかも、次のクエストは選択制らしい。薬や、装備は誰でも使うけど、農業、畜産、道具あたりは生産職を目指すプレイヤー以外には蛇足だから、ごりごりの戦闘職を目指す人たちはキャンセルしてもいいよってことか。


<チュートリアルクエスト8『農業をやろう』を受領しました>

<チュートリアルクエスト9『畜産をやろう』を受領しました>

<チュートリアルクエスト10『道具を作ろう』を受領しました>


 もちろん私は迷いなく受領しますけど。


「どうしたの? コォチ」


 突然動きが止まった私にミラが不審者を見るような目で見てきたので、慌ててサブクエストが出ていたことを告げる。


「ああ、生産系のやつね。どうせあんたは全部受けるんでしょ」

「はい、せっかく皆さんと仲良くなれるチャンスですからね。兎肉料理も大量に余ってますし、おすそ分けできる場所を増やさないと」

「にゃ! それ余ってるんならうちにも置いていきなさいよ! 意外と癖になるのよ、あれ。もちろんラーサさんの料理のほうが美味しいんだけど、微妙な味わいがあるのよね」


 おかみさんの料理に比べればまだまだだとは思うけど、そう言ってもらえるのは嬉しい。ミラが気に入っているのは試験的に導入した出汁の成果だと思う。グラスラビットは肉しか残さないので何から出汁をひくかが問題だったけど、シイタケっぽい茸と野菜くずからひいたり、おかみさんが街の畜産農家から少量仕入れている鶏や牛があったので、その骨からひいた。

 ただ、この街では魚介類が捕れないので、魚介系の出汁の話を聞いたおかみさんが死ぬほど悔しそうだったのがちょっと怖かった。この街に戻って来られるなら外で捕れたものを差し入れられるのに、おかみさんの魚介出汁を使った料理を食べられないのは私も悔しい。


 最近のおかみさんはその出汁の技術に夢中で、いろんな食材で試行錯誤している。私が作ったグラスラビットの肉野菜炒めは、その試作出汁を使った試作品という代物で提供するのがお店のお客さんだったらとても出せない料理なんだけど、無料でおすそ分けするならまあいいか、的な?


「食べていただけるならどうぞ。お皿はあとで回収に来ますので」


 適当に大皿に盛られた料理をカウンターに並べる。


『ぐおぉぉぉ! ミラぁぁぁぁ! その臭いぃぃ! 俺のところにも頼むぅぅ!』


 私が出した料理の臭いを嗅ぎつけたらしいガラさんが訓練場から叫んでいる。どうやら行動の制約で、ギルドマスターなのに訓練場の外には出られないらしい。


「ち、嗅ぎ付けられたか」

「一人占めしないでちゃんとギルマスと分けて食べてくださいね」


 明らかにひとりで食べるつもりだったらしいミラにちくりと釘を刺す。料理はまだまだあるんだから喧嘩はしないでほしい。ところが、それを聞いたミラがしてやったりとばかりにニヤリと笑う。


「くくっ、言ったわねコォチ」

「え? 仲良く食べてくださいってことですよ」

「実はあたしも、夢幻人を訓練場に連れていくときしかここを離れられないのよね」

「……嘘ですよね?」

「ほ・ん・と」


 ミラが指先で宙を三回叩く。くっ、本来なら挑発行為なのにドキドキしてしまうのは猫獣人補正のせいなのだろうか。


「私が訓練場に入って置いてくるのは?」

「訓練場への鍵はあたしが持っているし、クエストに関係ないアイテムは渡せないの。それに、コォチ…………あんた、グラスラビット相手に攻撃受けたわよね?」

「ぎくっ……な、なぜそれを?」


 アルしか知りえないはずの情報を提示されたことで動揺を隠せない私を見て、ミラはふふんと鼻を鳴らす。


「あなたはまだ使えないと思うけど、お互いに連絡を取り合う方法があるのよ。だから、すでにアルレイドからあなたの無様な戦いぶりは情報提供済みなのよね」

 

 フレンドリストとチャットメールか! たしかにまだチュートリアル中の私にはシステムが解放されていない。

 それにしても、あのくそ門番! 私のことを笑っただけでなく、人に言いふらすなんて許せん!


「約束したわよね、グラスラビット相手に不覚を取るようなことがあれば地獄の講習を追加するって」

「あ、あれは怪我をしたらっていう話で……」

「ふふふ、知らないのかしら? 大地人の共通認識では、攻撃を受けてライフが減ったらそれは怪我をしたことと同義よ。それに、そうすれば訓練場でギルマスに料理も届けられるわ」

「う……」

「まさか約束を反故にしたりはしないわよね、コォチ?」


 実にいい笑顔で私の手首を掴むミラに、私はがっくりと肩を落とすしかなかった。

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