7
「――――」
〝君に近しい人間なんて、度を越してるんじゃないかってくらい君を信用してる。愛してるって言った方がいい?〟
――
頼んだぞ、ギリート。
「いつまで
「ああ、分かった」
「――ッ待ってください、ケイさん!」
ペトラへ向き直った俺の背に投げられるナタリーの声。『待ってくれ』だなんて
興味もあって足を止めたかったが――ペトラの顔を見るに、これ以上はもう待っていただける様子じゃない。
俺は仕方無くそのまま、
「
――――足を止めた。
「な……ナタリー?」
マリスタの疑問の声。
当然だろう。俺にも意味が解らない。
いや、何をってそれは文字通り黒騎士――アヤメに勝てるかどうかを聞いているのだろうが。
「アマセ!」
「貴方は」ということは、俺個人がアヤメに勝てるかということか?
しかし、俺個人が勝ち
〝あんたらを信用することにした。今回に限り〟
「いいだろうアマセ。それ以上無駄に
「やれんこともない。
「!…………」
ナタリーからの返答を待たず、ペトラを追い越して演習スペースを出る。
背に声が投げられることは、もう無かった。
「一体何を
「別に。俺だったら黒騎士クローネ《・・・・・・・》に勝てるかどうか、なんていう下らない雑談だよ」
「とぼけるな。あのタイミングでそんな――」
「学祭が終わるまで閉じ込めるんだろうが、これから俺を。四六時中アルクスに
「――…………」
「変な
ペトラを適当に
「俺にしか出来ないやり方」と言えば聞こえはいいが――――結局は他人頼みだ。
俺自身に奴を斬り伏せられる力があればよかったが、それも望みは薄い。
……手札が少ない。
ナイセストの時より、遥かに
でも――――
「…………頼んだぞ。マリスタ」
努めて口にし、不安を外へ追い出す。
これは
俺が今回自ら選ぶ、信を頼みとした道の一つなんだ。
出来ることはした。
後は待とう。
呪いもまたぞろ、
◆ ◆
「結局、アマセ君のあのアドリブって何だったんだろうねー」
「役作りしてたんじゃない? クローネが神様たちに
「それにしてもノリノリだったよねー……あんなにシーンを引き
「まったくだ。リフィリィが動かなきゃ俺がブン
「それでなくても二時間半の
「ね。お客さんお
「アマセは演劇に関しては素人だしなー」
動かず何やら話しているのは、リフィリィが座り込んでいる場所にいるマリスタらだけである。
「……いいのだわね」
「お願い。私もそれが一番いいと思うから」
マリスタの言葉を受け、シータがリフィリィの前に立つ。
泣きはらした目のリフィリィが銀髪の先に彼女をとらえ、周囲の者もシータの表情に切迫したものを感じ、彼女を注視する。
片付けに入っていた者達がその空気に気付き始めた折、シータはリフィリィに――――否、会場にいる全員に向かって口を開いた。
「聞いて欲しいことがあるのだわ。ここにいるみんなに」
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