第8話8月15日。
伯父が中学3年の夏。少年兵として試験を受け、合格した。誰もかれもが兵隊に取られていって、皆戦争に連れていかれた。
伯父は8月15日に入隊することが決まっていた。
まさにその日。
戦争が終わった。
未だに敵機の名前がすらすら出てくるし、隣にいた友人が撃たれて倒れたことも鮮明に覚えている。銃弾で撃たれると、正面から見た穴は小さい。けれど銃弾はぐるぐる旋回しながら突き進むので、内臓をしたたかにやられてしまう。食糧難の時代、犬を飼うと非国民だと罵られ、東京から疎開した先ではよそ者だからと、井戸すら使わせてもらえなかった。かろうじて井戸を貸してくれたのは、五キロ以上離れた家。そこまで毎日、水くみに通う。
伯父は最近、戦争時代の話をするようになった。
悲しい思い出話を聞くのはつらい。しかもこれは、現実にあったこと。伯父が実際に経験してきたことだ。
引き継ぐ世代の私が、逃げるわけにはいかない。
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