休院のお知らせ

 1月17日、18日、体調を崩し、微熱だった次女は学校を休みました。天気の悪い日、寒い日が続いていたので、具合が悪くなったようでした。

 回復した19日金曜日は、2年最後の実力テスト。学校からは、

「教科月曜日に業者に採点出すから、どうにかして受けましょう」

 と催促されていましたが、結局体調が悪く、頑張って登校したのは15時頃でした。この日は天気がどうにか良かったのか、歩いて帰ってきたようです。


 綱渡りのような日が続きました。


 2018年1月20日土曜日、カウンセリングの日です。

 雪道を心療内科まで向かいます。夫は朝から仕事だったので、無理やり私が負ぶって車に乗せ、着く頃には歩けるようになって、というのは変わりません。

 ただ、この日の心療内科は、いつもと違っていました。

「今月いっぱいで休院となります」

 いつもと違う順番で、私と次女が同時にカウンセリングに呼ばれたような覚えがあります。

 カウンセリングの先生が、休院の案内と、近隣の心療内科一覧を見せてくれました。

「本当に申し訳ないのですが、先生の体調の関係で、院を閉めなければならなくなったので、今回でカウンセリングは最後なんです」

 心療内科の先生の体調が思わしくないという話は、どこかで聞きました。

 小児科だったか、学校だったか。細かいことは忘れましたが、まさか病院を閉めなければならないほど具合が悪いとは思っていませんでした。

「S市とT市に、これだけ心療内科があります。今後はこの中のどこかで診察を受けていただくことになります。先生はもう診察には来られないので、代わりの先生が来てます。紹介状も書いてもらいますから、ご安心ください。今月中に次の心療内科を決めて、紹介状を取りに来ていただくよう、患者さんにお願いしているんですよ」

 あまりにも突然のことで、何と反応したら良いのか。

 全部で10以上の医院の名前がずらっと並んでいました。

「沢山あるように見えますが、実は、未成年者を受け入れてくれる心療内科はとても少ないんです。こことここ、ここも……、未成年者は受け入れ不可だと聞いています」

 カウンセリングの先生は、申し訳なさそうにリストに指さし、教えてくださいました。

「そんなにダメなところが多いんですか」

「心療内科とは言っても、殆ど大人の診察が専門で、子どもを見てくれるところは本当に数えるほどしかないんです。それに、カウンセリングをしているところも限られています。大人の方は選択肢ありますが、子どもとなると、本当に限られてきますね。それに、今私たちが把握していることをお話ししているのですが、もしかしたら把握していないだけで、今不可だと分かっている医院さん以外のところも、子どもの受け入れを元々していない可能性もあります」

 何度も同じ説明をしたのでしょう。申し訳なさが痛いほど伝わってきました。

 リストの中には、以前心療内科を選ぶときに候補に挙がった大きな病院も幾つか並んでいました。

「お勧めは県立病院の思春期外来なんですけど、予約待ち期間が長くて……、6ヶ月待ちくらいだったかな。不登校の関係も一生懸命ですし、カウンセラーもいます。それでなければ、他の病院で、未成年を受け入れても良いよというところを探すか……。本当に、ご面倒おかけしますが、今月中に決めていただきたいんです」

「わ……かりました……」

 ショックを受けました。

 次女もカウンセリングの先生に色々話してスッキリすると言っていたし、心療内科の先生も優しくて、砕けたような笑顔に癒やされていました。

 それが急に絶たれてしまい、どうしたら良いのか、直ぐには考えられませんでした。

 今まで仕事を休まないよう、土曜日の診察をしている心療内科を選んで通っていたのですが、行けなくなってしまったのです。他の心療内科も、殆ど子どもの受け入れ不可。

 月末まで、10日ほどしかありません。平日の空き時間に電話をかけまくって心療内科を決定し、どうにかして診断書を貰う必要があります。

「困ったね」

 それ以外、何も言葉が出ませんでした。

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