砦、劇的大改造される
144-①
「おお……すげーーーーー!!」
約一週間ぶりにトポンツ砦に帰ってきた影光は思わず感嘆の声を上げた。
トポンツ砦は改造されていた。
……何という事でしょう、以前は砦の周囲には城壁も無く、丸太を組み上げただけの頼りない柵しかなかったのが、今では地面から隆起した強固な岩盤が城壁として砦の周囲をしっかりと囲っているではありませんか。
更に岩盤城壁の周囲には、食事も睡眠も休息も必要としない影魔獣を一週間ぶっ通しで使い倒して掘った深い
空堀の底には今まで砦の周囲を囲っていた柵を分解した際の丸太を加工して作られた杭がびっしりと埋められ、敵の侵入を防ぎます。
前の砦の部材を生かした、剛力無双の大豪傑、ヴァンプ=フトーの怪力が唸る空堀です。
……と、地の文が思わず加○みどりさん風になってしまう程にトポンツ砦は劇的に大改造されている。
そんなトポンツ砦に影光達は、かねてからの打ち合わせ通り無血で入城し、その様子をトポンツ砦から少し離れた丘からヴァンプ達は観察していた。
「……入ったな、ダント?」
「ええ、間違いなく」
「ふっふーん、武光さん、砦の変貌ぶりにビックリ仰天でしょうねー」
にやりと笑う三人のもとに、暗黒教団の信徒達がやってきた。
「キサン様、今こそ例の策を!!」
信徒に詰め寄られたキサンは小首を傾げた。
「例の策ー?」
「ほ、ほら砦を
「あー、そういえばそんな事言ってましたっけー?」
「……悪いが、その策は中止だ」
「一網打尽にされるのはー、貴方達の方ですよー?」
「なっ!? 貴様ら──」
キサンとヴァンプは信徒達に襲いかかり、瞬く間に
「……終わったぞ、ダント」
「分かりました、それではシスターズ01に報告しに行きましょうか『信徒達が奇襲を受け全滅した』と」
ヴァンプは去り際に砦の方に視線を遣ると、小さく呟いた。
「……武光、上手くやれよ」
トポンツ砦に再び魔王軍の旗が掲げられ、魔王城から派遣されてきたキョウユウの部下が度肝を抜かれる事になるのは、翌日の事であった。
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