少女達、阻む
10-①
フリードから得た影魔獣の情報を王国軍に伝えるべく、シューゼン・ウインゴへと急ぐ武光一行だったが、武光達は道中足止めを食っていた。
フリードに『近道だから』と言われて、街と街を繋ぐメインの街道から
「怪しい奴め!! この先へは行かせん!!」
そう言って青い甲冑を身に纏ったロングヘアの少女は、華奢な身体には不釣合いな斧薙刀を構えた。頭のカチューシャに付けられた銀色の
見たところ、年の頃は15歳前後といったところだろうか、凛として気品のある顔立ちをした少女である。
わけも分からず斧薙刀を向けられた武光は戸惑った。
「落ち着けって!! 俺らは別に怪しい
「怪しい!! どう考えたって怪しい!! 変な格好してるし!! 髪の毛黒いし!! むさ苦しいし!! 野盗っぽいし!!」
そう言って剣を構えたのは少し赤みがかった栗色の髪をポニーテールに結い、赤い甲冑を身に纏った少女だった。年齢は青い甲冑の少女と同じくらいか。
少女は活発そうな
「えぇ……野盗って……」
困り果てている武光の着物の
「仕方ありませんよ、確かにその格好は彼女達には見慣れないものでしょうし、ちょっとむさ苦しいのも事実ですし……警戒されるのも仕方ありません」
「ちょっ、おま……」
「ここは……私に任せてください!!」
ナジミは握り拳で無い胸をポンと叩くと、スタスタと少女達の前に進み出た。
「聞いてください、私達は──」
「怪しい!! さっきの男よりもっと怪しい!! 何よその変なキツネの仮面は!?」
ナジミはスタスタと武光達のもとへ戻ってきた。
「さ…………最善は尽くしましたっ!!」
「いや、瞬殺やんけ!? そんな怪しい狐面付けて行くから……」
「……猫なんですけど?」
「……え?」
「これ……猫なんですけど!? 頑張って……頑張って作ったんですけどっ!?」
「何も泣かんでも……って、痛っ!? やめろ、肩パンすんな!!」
むさ苦しい男と怪しい巫女に代わり、今度はフリードが話しかけた。
「僕達に、君達と敵対する意思は無い。一刻も早くシューゼン・ウインゴに行かなくちゃならないんだ、そこを通してくれ!!」
「だ、ダメです!! ひ、引き返してください!!」
フリードの頼みを黄色の鎧を身に纏った少女が拒否した。歳の頃は他の二人と同じくらい、栗色の髪を三つ編みにした、たおやかで
少女は左手の人差し指と中指で鎧と同じ黄色いフレームの眼鏡の位置を直すと、小型のボウガンを構えた。
武光は困惑した。この少女達は一体何者なのか?
野盗山賊の
先程からの彼女達の言動から察するに、この先には彼女達にとって大切な何かがあるようだ。
武光は再度少女達に話しかけた。
「なぁ、ほんまに俺らは野盗でも何でもないし、シューゼン・ウインゴに行きたいだけなんやけど……通してもらわれへんかな?」
「くどい!! 何人たりともここは通さん!!」
「どうしても引き下がらないって言うなら……」
「じ、実力行使です!!」
「ちょっ、待っ──」
少女達が武光に襲いかかった!!
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