ピグミーサンフィッシュ

 別名エラッソマ・ゾナータム(トゥム)、呪文のようである。

 サンフィッシュとはブラックバスのことである。ブラックバスと書くと驚かれるだろうが、本種は最小クラスのサカナなので3cm程度にしかならず、他のサカナや成長しきったエビを捕食する能力はないので大型肉食魚やオヤニラミのようないかつい顔立ちのサカナが好きな人にはオススメ。本種も近い種類が同名で販売されることがあるので、できるだけ生体を確認できることが望ましい。柄で選ぶならゾナータム、色で選ぶならエヴァーグラディといったところか。


 本種は顔つきからサンフィッシュという名前こそ付いているが、ブラックバス等とは分類上はかなり遠い親戚みたいなものなので国内条例等による規制の対象にはなっていない。また、本種は縄張り意識からペア以上の同種複数飼育には向かないが、ペアの相性さえよければ子育てもオスが稚魚を守る形で安定して育つ点から繁殖も狙えるのは飼育して楽しいだろう。ただ、本種の問題点として人工エサに餌付きにくいということがある。縄張りが広くその範囲を泳ぎ回る習性から落ちてきたエサへの反応は良いが、形で食べる食べないを判断しているのか乾燥エサや生き餌は食べても人工餌には興味を示さない個体がいるという報告を聞くことがあるので、本種の飼育に関しては乾燥エサは少なくとも用意しておいてほしい。


 混泳に関しては注意が必要だが可能。前述の通り縄張りを広く設定する個体が多いことを考えると、キューブ水槽程度だと中層の魚は本種だけの方が良い可能性がある。特にスカーレットジェムのような近いサイズで縄張りを持つサカナとは習性の近さからケンカになる可能性が高いので、混泳させる場合には中型水槽以上で水草を繁茂させるべきなのは間違いない。また、縄張り意識がある関係上は近いサイズのサカナを縄張りから追い払う仕草をみせるはずなので、混泳させるサカナの立場が弱くなりすぎないようにまとまった数を導入しておいてやる必要があるだろう。他にも微生物や昆虫等の肉食型とはいえ、他種の卵や稚魚、稚エビなどは積極的に捕食するので自然繁殖は諦めるか、本種または稚魚等を避難させるなど対策を講じる必要がある。


 おまけとしてマンボウもサンフィッシュと呼ばれることがあるが、こちらはあだ名みたいなものなので一般的にはブラックバスの方がサンフィッシュである。なので、マンボウの方は区別するためにオーシャンサンフィッシュと呼ぶか学名からモーラと呼ぶのが正しい。

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