スカーレット・ジェム

 名前の通り、紅い宝石のような体色に青い縦縞を持つきれいな熱帯魚。

 ルリスズメダイのような海水魚を思わせるフォルムでありながら淡水で飼育できるという、熱帯魚のなかでも根強い人気を持つサカナの一角。

 混泳にはとても向くが、何点か注意すべきことがある。


 注意点としては身内との相性が最悪であること。混泳水槽の他のサカナに攻撃することはないほど小さいサカナだが体の小ささから生き残るのに必死らしく、仲間との縄張り争いは命をかけた戦いになる。これは勝った側も負けた側も傷だらけで極めて短命になってしまうので、繁殖を狙う場合を除いて複数飼育は避けること。

 販売時は小さい水槽にまとめて入れられているが、縄張りを作れないほど過密気味だから争わないだけでストレスのかかる環境であり勘違いしないように。

 また、気に入った縄張りから動きたがらないので、きれいな見た目なのだが水槽の物陰を縄張りにしようものなら生きているのか死んでいるのかわからなくなる。これは丈の低い水草や筒などを水槽の手前側に置いて縄張りとして気に入ってもらうことができれば防止できる。逆に縄張りの場所を飼い主が把握できないとエサにありつけずに餓死する可能性すらあるほど縄張りから動きたがらない。

 ただし、水槽によってはエサを与えずとも長生きすることがある。これは、頻繁に水槽のあらゆる生物が繁殖行動をとる水槽である。エビと貝の卵や子どもが大好物であるからだが、この点に着目して爆発的に増える貝類の駆除役やある程度の稚エビを間引く必要があるときに導入して個体数管理を行う考え方もある。だが、できるだけ人工餌や乾燥餌を与えて慣らせておいたほうが長生きする。


 まとめとして、熱帯魚の中でも最小サイズなので混泳相手に迷惑をかけないが、同種間では激しく争うので1匹だけ入れること。エサは元々の好物の影響で天然物の特に生き餌を好むが、縄張りの中にあるものはこだわらずによく食べる。問題は飼い主が縄張りの場所を把握できるかにかかっている。また、餌付きにくい個体もチラホラといるので、保険として人工餌だけなく乾燥餌を用意できていると失敗しない。冷凍アカムシや生きたアカムシを保管できる環境なら紅い宝石と呼ばれる美しい体色を確実に見ることができるほど調子がよくなる。


 

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