カウントダウン

10秒前

…にしても、同じ日に同窓会なんて開かれる時ってあるのか?


同じ高校…?

いや、まさかな…。


そんなことあっちゃいけない…。

雅樹…なんて一人しかいない。


「お前、どこ高だったんだ?」

「え?気になっちゃう?お?お?」


…イラッ

「同じ日に同窓会ってどこなのか気になっただけだ。」


俺が睨むと、俺の頭をグシャグシャとなでた。


「どこ高なんて忘れちゃったよ。そ~れ~に~…。」


坂井は俺の顎を優しく持ち上げて俺と目を合わせた。


「俺、浮気しないよ?」


カァァアアアッッッ!!!!!!!!


「べ、別にそういうことじゃなくて…。」

こーのーやーろーッッッ!!!!


坂井はニコニコと二人分の招待状を揺らした。


…ん?

「同じデザインなのか?」


サッ

俺の問に、坂井は少し顔を歪めて、引き出しにしまってしまった。


「似てただけだと思いますよ。こういうデザイン多いみたいですし。」


…怪しすぎる…けど坂井の体が引き出しの前からどこうとしない…。


「ふーん…。」

今のところ諦めるか…。



9!

「やってきました~よ!!」

「あ゛?」


俺はまぁすがすがしい朝を迎えた。


ゲシッ

「グフッ!!」


あまりにすがすがしかったから、お礼に腹をけってベットから落としてやった。


「なんだ、朝っぱらから。」

「…いてて、…遥さんひどいよぉ。」


イラッ

「用はなんだ。」

「今日、同窓会だね!!」


「…あぁ。」


さっきまでぶつぶつと文句をこいていたのに、急に顔色を変えるものだから、驚いてしまった。


そういえば今日だったか…。


「そして俺のたn「同窓会午後からだったよな?」…?」


誰が祝うか、お前の誕生日なんかッ!

と言うところだが、世話には何回もなってるし…


少しくらいは…な。


8!

俺と坂井はジュエリー店に来ている。


「ペアリングとか良いよね!!」

「誰がっ!」


少しキュンてしたけど…。


第一、俺が買おうとしているのは、リングじゃない。ネックレスだ。


「坂井は、7月生まれだから…」

俺は店内の月別の宝石がわかる表を覗き込んだ。


あ、あった。…ルビーか…。

とすると、どんなのがあるかな。


…そういえば…、ここのを雅樹に…ってダメダメ!!


今は坂井のを選ぶんだろ、俺!!

俺は自分の頬をパチンと両手で挟んだ。


チラッと坂井を見ると、リングのところで嬉しそうに微笑んでいた。


俺のボーナス…はどっちにしろ消える覚悟はしていたし、まぁいいか…。


「そんなにリングが欲s「はい!」ッ!」


って最後まで言わせやがれッ!!

素直だけど…やっぱり癪に障る。


理由なんて…もう…今の俺には簡単だ。



坂井と雅樹を重ねて見えてしまう俺にとっては、毎日家でも職場でも声を聴いて過ごすというだけで、複雑なんだ…。



もし…、もしだよ?


坂井が本当に雅樹だったら…?


他人なんかじゃなかったら…?



そしたら、

俺は雅樹に許されているって考えていいのか?


それとも、雅樹に永遠に許されないから、ずっと他人として苦しめるということなのか…?


…いや、雅樹も坂井もそんなことしない。


多分…。





でも、もし坂井がアイツと赤の他人なら…


俺はこれからも坂井と雅樹の差や共通点に一喜一憂することになるだろうな…。




はぁ・・・、今日は一日が過ぎるのが怖い…。


午後なんて来ないでほしい。


この時間が止まってしまえばいい…、なんて…、バカみたいだな…俺。



7!

「・・・かさん、遥さん!」


「・・・んあ?」

変な返事したな、これ…。


「俺、これにしたい!!」


あ、そんなに気にもしていないか…。

坂井が選んだのは、、ダブルリングのデザインのものだった。



「なぁ、これ…女物なんじゃないか…?」


「はい!遥さんに似合うと思って!!」

「」


どういう意味じゃ、ごぉら…!!?


「それに、遥さんとペアにしたい!!…ダメ…?」


あああああ、その上目遣いやめろぉおおお!!!


「…いいんじゃないか…?」






『毎度ありがとうございましたぁ!』


俺は坂井の…、雅樹の…、好いた奴の願いには弱い…。



6!

俺たちは少しの量の飯を食べて、さっさと会場に向かうことにした。


え?なぜかって?

いいか、よく聞け読者よ!←誰だ、おめぇ


大人というものは、場所の1時間前には到着するのがマナーでッ


…後輩がトイレに行きたがったら…たとえ2時間以上前でも会場に着くのが常識……って!


「んなわけあるかぁ!!何腹下しちゃってんだ!」


「す、すみませんっ!!」


ったく・・・。

「受付出来たみたいだから、先にしとくぞ?」


「お願いします…。」


世話が焼ける後輩を持ったな。

まぁ、悪くはないけど…。



それから、坂井の分まで受け付けを済ませておいたのだが…。


担当の人たちを待つ形になった俺達って…相当楽しみにしてた的なノリになってるよな、きっと、いや絶対!!


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