仕事中

ども、俺は西島遥サイトウハルカ

って読み間違られ率99%!!


でも、あいつだけは間違えなかった……って違う違う!!俺ったら!!

もうあいつのことは忘れるんだ。


[今までは、俺が一番下っ端だったんだけど、今日はついに俺に後輩がやってくる!!

超楽しみ~゚ .(・∀・)゚ .゚パァァァ]


よし、これで送信っと。

高校時代からブログを初めて、思いの外はまっちゃって……てへぺろっ。

あ、女子みたいな趣味でスンマセン!!


「みんな!!おはよう!!」

朝の9時になると、室長の声が室内にこだまする。……正直うるさい。

室長は気が済むまで今日のお気持ちを発表した後、


「えー、今日は、新しいやつが入った。ほら、挨拶して!!」

室長に促されて、ゆっくり俺の後輩になるやつが入ってきた。


「はじめまして、ここに配属されました、坂井雅樹です。」


ッ雅樹?!

俺はその名前に脊髄反応して顔をあげて、もっと驚いた。あいつにそっくりだ…!!

俺の脳内で、【中田雅樹】の名が浮かび上がった。


くそっ……どうして俺は……!もう忘れないといけないのに。

それに、雅樹は……こんなにチャラくない!!

……メガネをかけてたし、髪の色だって真っ黒だった。サラサラしてて……って、また俺は!


俺は、自分の頬をペシっと叩いた。

「西島先輩?」

「ふえ?」


急に話しかけられて、俺は素っ頓狂な返事を返してしまった。

ってかこいつ……俺の事って読んだ……よな……。

室長に聞いたのかな。


「あの、西島先輩にご指導をいただくように……と。」

「あ、あぁ。」


そう言う事か……俺が社長に直々に

〈教育したい!!ってか後輩欲しいです!!〉

って頼んだから、気を使ってくれたんだろうな……。


「宜しくお願いします。」


深々と、頭を下げられてしまって、慌てて俺も首だけを曲げるようにして、『よろしく。』とだけ声をかけた。


顔をあげた坂井は……雅樹とそっくりの笑顔だった。

なんか……イラつく。



・・・・・・・・・


[今日来た後輩、知り合いにそっくりで、チョービビった]

これで、送信っと。


俺は、家でパソコンを睨みつけてる。

その風景って、傍から見たら本当にさみしい独身男って感じなんだろうな……。


「はぁ~……。」

ついため息が漏れる。


プルルルル~♪

ん?着信……誰だろ……?

……非通知?


「はい。」


「あ、西島先輩ですか?坂井です。」

あ、なんだ、コイツか。


「どうした?こんな時間に。もうかえってるだろ?」


俺が尋ねると、少し間が空いてから、嬉しそうな声で答えた。


「実は、帰りに会社の名簿で、確認して、連絡入れてるんです。良かったら、この番号登録お願いできますか?」


「なんで?」


「色々教わるのに、とっさに連絡ができないと、不都合かと思ったので。」


あ、そう言う事ね。

……それだけ……なんだよな。

ってまた俺はッ……こいつは別人だっての!!


「あぁ。」


ボソッとそう返した俺に、坂井はまた嬉しそうな声で、「有り難うございます!ではまた!」と言って、話すだけ話して、ブツっと切った。


おいおい、もっと上手に切るもんだぞ、電話って。


まずここから教えないといけない気がする。


ふわぁ……眠……、ってもう1時過ぎてんじゃねえか!!

早く寝よ…。

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