鬼滅の刃の人気考察。
恐らく数多の記事ブログで考察されているであろう「なぜ鬼滅の刃がこれほど人気が出ているのか」を筆者も書いてみようと思います。よく考察されている「家族愛を軸にしたストーリーが受けている」、などそれもあるかなとは思うのですが、筆者は主人公像が現代では珍しくて受けたのかのではないかと言う気がするのです。
筆者は初めてこのアニメを見た時に思いました。主人公が非常に素直で優しい、本当に良い子だと。見ていて気持ちが良いほどです。そして、昭和に子供時代を過ごした方は分かるかと思うのですが、このヒーロー像は昭和初期のアニメキャラクターとかぶるのです。代表的なものが鉄腕アトムですね。まっすぐな性格、優しくて正義感溢れる本当に良い子でした。
翻って、平成以降のアニメ主人公は個性があると言うかひとくせあるキャラクターが多かったように思います。代表的なのは「エヴァンゲリオン」ではないでしょうか。碇シンジが出てきた時、昭和の「熱くて正義感があって元気がある主人公像」とは真逆なキャラクターだった為「こんな主人公がいるんだ」と衝撃だった事、同時に斬新に感じた事を覚えています。
エヴァの大ヒット後はその影響を受けたのか、アニメや漫画作品に「今までの主人公らしくない主人公」が増えたような気がします。時代的にも判で押したような主人公像に飽き、それまでとは違う個性を持ったキャラクターを求めた時だったのかもしれません。
主人公なのにやる気がない、斜に構えた性格をしている、社交的ではない、明るくない、心の中に闇を抱えている、(作品によっては)反社会的な性格であるなどなど、昭和のヒーロー像とは違う主人公像が受けていた気がします。
そう言った「ちょっと冷めた熱血とは真逆の主人公」が受け続けていた中、あるメガヒット漫画が生まれます。「進撃の巨人」です。
筆者はまずアニメでこの作品を知りましたが、主人公を斬新に感じました。今までの「冷めきって何でもほどほどにこなす主人公像」とは真逆の熱血漢であり、あつくるしいと感じるほど熱い性格だったからです。圧倒されるほどの敵に対しての復讐心を持ち、非常に好戦的であり猪突猛進な性格。これほどの熱量を持っている「往年のザ・少年漫画的主人公像」は非常に懐かしいと言うか、昭和に戻ったかと言うか、平成の漫画では珍しいと感じました。「進撃の巨人」の大ヒットはストーリーの斬新さもありますが、猪突猛進な主人公が平成の若者達には新しく感じられたからではないかとも思います。
そうして令和の「鬼滅の刃」の大ヒットです。筆者はこの人気の秘密の一つを、以上の理由から「平成、令和では珍しい主人公像である」からだと思います。具体的にどう珍しいかと言うと、「優等生と言われるほどの良い子レベル」である事でしょう。大正時代の長男なら珍しくはなかったかもしれませんが、「今どきこの年頃の子供にしては非常に礼儀正しく、下の子供に対して面倒見が良く、明るく、忍耐強く、努力家で優しい」。最近のアニメ主人公では見られなかったキャラクター像です。
そうして理由はもう一つあると思います。
それは、「鬼滅の刃」の主人公の性格が、非常に情溢れる優しい性格であると作中で何度も強調されている部分です。家族友人に対してはもちろんですが、敵である鬼に対しても、鬼はかつては人間だった事から情けを見せる場面が多々見られます。
彼のこの人情味あふれる性格が、アニメを見る人に意識的無意識的にかかわらず、「こんなダメな自分でも炭治郎(主人公)なら友達になってくれるのではないか」「炭治郎なら自分のどんなピンチでも見捨てないのではないか」と思わせるのではないでしょうか。自分のピンチに助けてくれる人がいる。手を差し伸べてくれる人がいる。そう思わせてくれるから「鬼滅の刃」は人気が出たのではないかと思うのです。
以上、ちょっと違った見方からでの「鬼滅の刃の人気考察」でした。皆さんはどう感じられるでしょうか。
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