なぜ妻は夫が自宅でゴロゴロすると不機嫌になるのか

浅野新

「なぜうちの妻は」と愚痴ってしまう前に読んでみようシリーズ

なぜ妻は夫が自宅でゴロゴロすると不機嫌になるのか

それはなるでしょう。なりますよ。

なぜかと言うと、妻は夫の事を仕事で言えば「同僚」とみなしているからです。


働く男性の皆さんの気持ちも大変分かります。「仕事で疲れてるんだから、安らぎの場である自宅でくらいゆっくりさせてほしい」はい。痛いくらい分かります。

ですが、妻側の心境をビジネスに例えてみれば、不機嫌になる気持ちも大変分かるのです。


早速イメージしてみて下さい。

外回りの仕事をしていたあなたは今、会社のオフィスに帰ってきました。もうへとへとです。ですが報告書ささなどやらなければならない仕事があります。あなたがうんざりしながらパソコンで仕事をしていると、同じ部署にいる同期が眼に入ってきました。彼は明らかに暇そうです。羨ましいと思う反面、いらいらし始めるあなたもいます。彼は同期で同じ部署にいます。一言何か手伝う事はないか、と声をかけてくれれば資料のコピーなど頼めそうな簡単な仕事はいくらでもあります。しかし彼と自分の業務は違い、また部下でもない彼を呼びつけて仕事を頼むこともできません。彼が自ら手伝いを買ってでない限りそんな事はありえないのです。

あいつスマホをこっそりいじってやがる。そんな暇があるならちょっとくらい気を利かせて忙しい自分を手伝ってくれたらいいのに。いっその事暇そうな彼が視界に入らなければこんなに苛つかないのにと思いつつ、同じ部署にいる彼が近くにいる事は必然です。あなたは仕方がないと分かっていながらも、イライラする気分をおさることはできないのでした。


さて、ここで現実に戻ります。

今時の家庭では奥さんも共働き、という所も少なくないでしょう。または専業主婦でも妊婦であるとか、幼児がいるなど「肉体的・精神的につらい」状況に常にさらされている事も考えられます。・・・ん?肉体的・精神的につらい?・・・会社勤めの自分と一緒じゃないか!

はい、そうなのです。要は、「家に帰ったらすでに帰って来て(または家にいて)いて、料理や、場合によってはお風呂掃除や洗濯や掃除機かけなんかもしている奥さんは、仕事帰り/あるいは幼児の世話ですでに疲労困憊」の状態なんです。

そこで人生のパートナーであるあなたが帰って来た。妻にとっては、あなたは仲間、会社で言えば苦楽を共にする同期なんです。本音では家事や育児を手伝ってほしい。しかし、優しい奥さんほどそれを声に出して言いません。あなたが仕事で疲れ切っていることが分かっているからです。それでもあなたが奥さんの視界に入る範囲で、ソファでごろごろしたり、横になってTVを見出したりすると、腹が立ってくるわけです。なぜ暇なのに忙しい自分を手伝ってくれないのか、と。会社で例えたあなたと同じです。


暇な同期に手伝ってほしいが業務違いの彼に頼めない

→ごろごろしている夫に手伝ってほしいが仕事で疲れている彼に頼めない

・・・と頭でわかっちゃいるが目の前にいられるとイライラが募る

→せめて視界に入らない所でごろごろしてほしいが狭い家でそんなスペースもなく余計にいら立ちが募る

夫への声掛けがついついキツイ口調になってしまう、または我慢がたまらず「ごろごろしてるんだったら手伝ってよ!」とつい言ってしまう。


と言う訳で、自宅でごろごろすると妻が不機嫌になる、自分が仕事で疲れているのは分かっているはずなのにと嘆く旦那さんは、ビジネス目線で考えて下さい。理解ができるようになります。

そうして、「そりゃ苛つくわな」と共感して家事育児はやって下さいね。ビジネスで言えば、あなたと奥さんは同じ部署で同じ業務を二人でしているんですから、どちらかが手一杯になったらもう一方が手伝わないと、いつまでたっても仕事が終わらないんです。「ありがとう」の感謝もお忘れなく。どんなに頑張っても会社から全く労いの言葉がないと、やる気が失せてしまうのはあなたが一番わかっている筈です。




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