17.8月16日

ピピピピッ……

僕「あっ……」

この日に限って寝坊……。時計は元気よく9:00と光っている……。ヤバくねーか?

僕は準備したものを全て掴んで友一の家まで走っていった。


友一「やっと言い出しっぺが来たー」

茶化してるけど、常習犯はお前な。まあ、言い出しっぺは否定できない。

荷物はキャンプ場までは浩仁さんがサニトラで持って行ったので、あとは電車が来るのを待つのみ。ちょうど、遠くから電車の音が聞こえた。

友一「じゃ、これで全員だね。行こうか!」

正則「わーい!楽しみですぅー!」

と電車に乗り込んだ。


→空南キャンプ場…

ここは一応、村の管轄内に入っているらしく、空南と名付けられているが、そのうち隣の村の物になってしまうほどの境にある。

ここのキャンプ場は小学校の行事で何回か来たことがあるけど、久し振りに来ただけあって懐かしい。うっそうとした木の先にある広場がキャンプ場になる。

友一「よっしゃ!ついたぁ!」

光「おーっ!なっつかしいなっおい!」

僕「だね。懐かしすぎて、帰ってきてよかったって思う」

光「ははっ!しっかしよ、お前が帰ってきてくれるって思わなかったぜ?」

僕「うれしいの?光は」

光「あったりめーよ!」

僕「ありがと」

とそこへ、友一が走ってくる。

友一「なになにー?思出話?」

僕「違うよ。懐かしいなって話。帰ってきてよかったって」

友一「懐かしい。か」

純一「そりゃ、5年ぶりだからな。懐かしいに決まってるだろ」

ふと、5年前のことを思い出した。

『俺は源田の事を忘れないで柔道をやる。だから源田も俺の事を忘れるな』

それは純一先輩が別れ際に言った一言だった。

僕「純一先輩、僕はあなたの事を忘れませんでしたよ?」

突然放った一言に純一先輩は呆然としていたが、

純一「ああ。俺もだ」

と返してくれた。


陽は徐々に暮れ、皆静かになってきた。

央里「ほらー、メシできたぜー!」

皆、お腹が空いているのか、走っていった。

賢「え!?またカレー?」

央里「ってなんだよ。味はちげーよ?」

みんな「いただきまーす!」

僕「あ、ホントだ。昼はポーク、今はチキンだ」

央里「お!鋭いなぁ!」

どうやら本気と書いてガチの当たりらしい。

友一「よかった。間違えて酒持ってきてなくて……」

隣にいた友一がボソッと言った。

僕「えっ?」

友一「間違えて酒持ってきたらさ、京一くんが間違えて飲んじゃってさ、そしたら正則くんとヤリ出して。興奮した先輩が上に重なるっていうことが起きたんだよね……」

あー、そんなことあったんだー。知らなかったなー。


正則「源田さん、空綺麗ですねー」

空を見る。そこにはデネブ、アルタイル、ベガの夏の大三角がキラキラと輝いている。

僕「ホントだ。キレイだね」

央里「もうテント入れよー」


テントに入ると全員顔を合わせるようにうつ伏せになっている。

僕「質問ターイム!僕がいなかった5年間何があった?」

光「んー。これと言ってなんもねーな。細かく言うと京一が酒飲んであれやこれや……」

京一「それ以上……!」

僕「あー……。他には?無いんか……。じゃ、好きなタイプとかは?じゃ、誕生日の光くんから!」

光「えぇ……?俺から……なの?」

皆、光を見る。

光「俺は、フサフサでデカイの」

央里「わはははは!なんだそれ!もうちょっとなんかあるだろ」

僕「じゃあ、央里先輩は?」

央里「お、俺か?俺はー、この世のゼンブ!」

純一「そんなのありか?」

僕「だめです。じゃ、純一さんは?」

純一は顔を赤らめる。

純一「げ…、源田」

賢「ヒューヒュー!」

 みんなの笑い声が夜空に響く。ああ、もうあと半分か。もっともっと続けばいいのに……。

 僕はみんなが大好きだ。だから、だからそう願う。心から――。

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