第376話 【たった一度の魔法少女・クレア】

 過疎化の進んだ町の小高い丘に一件の小さな家がありました。



 少女・クレアには、両親が無くお祖母様と二人で、その家に暮らしていました。


 クレアは美しく可憐な魔法使いでした。


 ですが、魔法を使えるのは生涯でたったの一度きりだったのです……



 常日頃から、お祖母様は、クレアに、

『クレア…!! あなたは、たった一度だけしか魔法は使えないのよ!』


「はい……」

『だから、あなたの一番大切な人のために使うのですよ』

 と言っていました。


「はい、わかりました。お祖母様!!」

 クレアは微笑み返しました。


 その時は、すぐに魔法が必要になるとは思いませんでした。




 ある日、お祖母様が大病を患いました。

 お医者様には余命、3ヶ月と宣告されてしまいました。



 クレアは、お祖母様のために、たった一度の魔法を使おうと決心しました。


 ですが、お祖母様は怒って反対したのです。


『ダメです。クレア!! 私は寿命なのです……

 私のために、魔法を使う事は絶対に許しません……』

 キツく釘を刺しました。


 クレアは泣きました。

 お祖母様の言いつけを守り、魔法を使う事なく、3か月後、お祖母様は天へ召されました。




 やがて、魔法少女クレアは、学校を卒業し、看護士になりました。


 そこで、彼女は若く有能な医師と出会いました。

 医師の名前はユウキと言いました。


 やがて、二人は恋をします。二人は結ばれ、結婚を誓いました。



 ですが、幸せは長くは続きませんでした。


 ユウキの両親は家柄を重んじ、親が亡く学歴もないクレアとの結婚を許してくれません。


 

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