第307話

「このまま、付き合っていくのはシーちゃんの勝手だけど……、彼は……。」

 本城をアゴで差し、

「土壇場で彼女を捨てて自己保身するヤツだから…。」

 さげすんだ目で睨みつけた。


「そんな……。」

 本城は視線を逸らして、唇を尖らせて反論しかけたが、私は尚も続けた。


「わかってるよ。完璧な彼氏なんか、どこにもいないさ…。

 でも…、最後の最後に自分の事しか考えず、彼女を捨てていくようなカスと付き合うのは、止せって………。

 友達の一人としては、助言しておくよ!!」

 

「う……。」

 シーちゃんも戸惑っているようだ。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 私とサンタは校舎へ向かった。

空は灰色の雲に覆われて昼間とは思えないほど暗かった。

 サンタは私と腕を組み、

「やっぱ、元ヤンだよねぇ!

 イチゴ!!」

「違うって!! 何度、言わすンだよ!!」

「レディースでしょ!?

 湘南のどこら辺、走ってたの?」

「レディースじゃぁねぇ~よ! 走ってねぇって!!」

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