第256話
「時効だから、蒸し返す必要はないじゃん。」
「フフ…。」
ショーリは人懐っこい笑顔で那奈を見詰めた。
「十年も経てば…、痛かった事や辛かった思いも……、
大概の事は良い想い出になるんだよ!!」
「え……?」
「イチゴに殴られた事も…、今じゃ、笑い話しだろ!!」
「え…?」
「那奈ちゃんも今は辛いかもしれないけど……、クズ君だか、ユズ君だか知らないけど、そんな彼氏の事は忘れなよ!!」
「う……!!」
那奈は顔を歪めた。
重たい沈黙が支配した。
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