第214話

「それは……。」

 那奈は柔らかそうな下唇を噛んで、小さく首を横に振った。


「じゃァ…、堕胎おろすにしたって、軽く2、30万掛かるンじゃねぇ~の!!」

 ショーリは『ロケットダイブ』をハミングしながら言った。


「うゥ………。」

 みんな、お金の事になると頭が痛い。

 高校生の私たちには、2、30万は途方もない大金だ。

 ウチの高校もだが那奈の高校トコも、基本バイト禁止なので、お小遣いやお年玉を貯めたお金しかない。


「やっぱ、さぁ…!」

 ショーリは何か思いついたのか、こちらに顔を向けた。

「そのクズ君だか、ユズ君に出させねぇ~と!!」

 

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