入籍前の彼氏の秘密がやばかったので聞いて下さい。
凛
驚きで震えるしかなかった。
その日、その扉を開けたのは偶々だった。
彼と同棲するワンルームには小さなクローゼットがある。中身はなんてことない、私と同棲する前に暮らしてた彼の後輩(男性)の残していった服や小物、彼の着なくなった服がごちゃごちゃと詰め込まれているだけだ。
だから普段は開けないし、同棲を始めた頃に中が気になって開けた時に
「ごちゃごちゃとしてて恥ずかしいからなるべく開けないで」
そう彼に言われてしまったらもう開けることも無い。彼も普段は開ける様子もない、ただの物置としてそこにある、ただそれだけの物。
そう、本当に偶々だったのだ。
だって私は、突然舞い降りた掃除の神様に従って掃除をしていただけ。フローリングを拭き掃除して立ち上がる時に偶々、クローゼットの取っ手に手を伸ばしてその拍子に開けてしまった。ただそれだけなのだから。
開かれた扉、ごちゃごちゃの洋服。
気になった、とても気になった。
洋服を畳むくらい良いよね?
悪気などまったくない。ごちゃごちゃぐちゃぐちゃに詰め込まれた洋服を畳むなんて普通のことでしょ?
まずは区切られた棚の上の段。私の背丈では洋服は取れるけど奥まではあまり見えない。が、洋服を退けたことによりチラリと顔を見せるモノ。
あれはまさか…
アダルトな映像が盛り沢山のDVDでは???
ふふふ、やだ。気になる。
これは確認するしかない。別にアダルトなDVDがあろうと雑誌があろうと怒ることなんてない。人類みな何かしら変態だろうし変態がいなきゃ人類栄んのだ。
私の好奇心がいぇーい!と両手を上げている。よし、確認しよう。
近くにあった椅子を持ち出して登ると、わくわくどきどきと胸を高鳴らせて手を伸ばした。 …………なるほど、後悔先に立たずとはこういうことか。
驚いた。そして、震えた。
数秒前まで、ニヤニヤしてた顔は引き攣ってきっと変な顔になってるに違いない。
まさか、ゲイビデオだとは思わなかったよ。
や、いやいやいや。待とう。
ここは後輩の持ち物も詰まっている。コイツが彼の物とはまだ決まってない。そうだ、そうだよね。
誰かそうだと言ってくれ!
私はそっと、DVDと洋服を元に戻して扉を閉めた。この事は一旦、忘れよう。そう決めて。
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