「眠虎」

ねむるとら

目を醒まさぬ虎


君がもう目を見張ることはなく、

豊かであるだけの夢を以て

愚かにも旅立とうとする虎。


牙が落ちようともかかわらず、

寧ろその牙を鍛冶屋に渡し、

一本の高級ペンにして終う虎。


その虎のねむりは醒めず、

寧ろ緩やかな陽の下で、

機械的な眠を深める。


あゝ、眠虎。

もう目を醒ませぬ虎。


せめて目覚めた私は、

虎の身体を揺り動かし、

起こそうとするばかりである。

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