源三郎江戸日記(弟三部)9 程なく銚子につきそのまま千石船の場所まで行き乗り移ったのです、船頭が帆を張れと言うと帆が一杯に張られ一路相馬に向かったのです、暫く行くとそろそろ風向きの


源三郎江戸日記(弟三部)9


程なく銚子につきそのまま千石船の場所まで行き乗り移ったのです、船頭が帆を張れと言うと帆が一杯に張られ一路相馬に向かったのです、暫く行くとそろそろ風向きの変わる場所です、

左前方に沢山の小船が見えますが、あそこから漕ぎ出してくるのです、人影は見えませんねと言うので船を止めてくれと言うと、帆をおろせと船頭が命令して船が止まるとイカリを降ろ、

したのです、


それでは行くぞと言って小船二隻にのり砂浜に乗り上げて、上陸して歩いて土手の上に出ると、武装した者10人がいるので、我々は討伐隊ではない、ここの頭はだれだと言うと、わしが、

名主の勘助だが、何者なのだと言うので、諸国巡察視の村上源三郎じあと朱印状を見せて、上様直接のお役目じあ逆らえば幕府への反逆となると言うと、ハハハッとみなが座ったので、

立つが良い、


お前の村に案内せよと言うと、こちらにと言うので丘を登ると、あの山間の盆地が村で御座います、60家族230名が、近隣に住んでいます、大人が182人後は、老人と子供ですと言うので、

右側には水田があり、山麓は畑になっており、左側は野原です、あの水田で何町分あるのだと聞くと、およそ5町分にございますというので200石と言うところじあな、それでは米は足り、

んな、


左側の野原を開拓すればいか程になるのじあと聞くと、およそ30町分にございますというので、そうするとしめて1400石になるわけじあな、それだけあれば暮していけるじあろうと言う、

とそれはもう楽に暮せますというので、ここは水戸藩領だが財政厳しいので聞いて貰えぬのであろうと言うと、ハイ二世代に渡って願いを出していますが、聞いて貰えぬので、村を出た、

者もいますと言うので、


一家族月1両あれば暮せるかと聞くと、十分で御座いますと言うので、ならば1年で720両となり、米が取れるまで2年として1500両あまりだな、開発には馬が必要じあが、20頭あれば良い、

じあろう、それで100両、予備費として400両あれば、村の者が開発できるのかと聞くと、ハイ、それだけあれば十分です、藩には1000両を嘆願しましたがダメでした、2000両もあれば、

来年には1400石の作付けが出来ますと言うので、


その金寸はわしが下げ渡そう、返すには及ばぬ、又新田の分は年貢は永代2分になるように、藩主綱條様に承知してもらおうと言うと、なぜそこまでと言うとので、おまえ達が豊かにな、

れば、蓄えも出来るじあろう、それで近隣の村にを助けて同じように豊かにしてやるのじあ、芦名家は関が原の後減封されて秋田に移封された為多くの藩士が帰農したのであろう、恨み、

もあろうが、


それは捨ててこの村を豊かにして暮すが良いというと、ハイ、もう昔の事は誰も知りませんし、私も生まれた時から百姓で御座います、元は田中の姓でしたが、遠くに先祖が捨てました、

と言ったのです、山形に船頭に米20俵、味噌、醤油樽2つと2000両を船から降ろしてくれ、この者達が船まで取りに行くと言うと、ハイ、みなのものついてまいれと言うと、お~と言っ、

て山形についていったのです、


漁も畑も耕すのじあぞ、別に300石船を銚子から回航してそなたに下げ渡す、この船は前から風が来ても勧める工夫がしてある、200間間隔で石による桟橋を作り、砂をさらい水深を深く、

して船が係留できるようにすれば、荷物の積み降ろしも楽になる、砂をかくのは鉄のくわを鍛冶やで作ってもらい、船で沖に引いていくのじあと絵を描いて説明し、内側には丸太で、

いけすを作り、


沢山取れたときにはいけすに放し、シケの時の不漁の助けにするのじあと教えたのです、この船があれば日立、水戸に魚を運び商いが出来るであろう、さらにもう一つこの本には薬草、

の種類が絵に描いてありだれでも摘めるようになっておる、又煎じ方、効能も書いてある、ここら辺の野山にも沢山あるぞ、後ろの方には怪我した場合の南蛮の外科手術方法が書いて、

ある、


畳針、馬の毛、酒、サラシ、塗り薬があれば、いままでの治療より早く治せる、キズ口を針で縫う方法じあ、そのままだと激痛をともなうので、眠り薬を嗅がして、手術する方法じあ、

その薬も総て載っておる、そなたでもこの本があれば出来るぞ、この本を写本して近隣の村にも配るが良い、手や足を怪我した場合ははだしでいるとそこからばい菌が入り死にいたる、

ことが多々ある、


怪我した場合はすぐに綺麗に水で洗い、酒で消毒する事が寛容じあ、水で洗うだけでは、水に含まれるばい菌が入るので、必ず酒で消毒するのじあよ、子供も大人もはだしは怪我し易、

いので、堅い麦の茎が良い、藁ぞうりがはき易いが竹の切り株などに弱いので真ん中に麦の茎を差込通らないようにすれば、安全じあな工夫するが良い、草履一つでも工夫すれば高値、

で売れるぞと言うと、


なる程原料はそこらにある物で良いわけですかと言うので、竹の皮もまとめて旅籠に持っていけば頼む手間が省けて買うてくれるじあろう、春に沢山取って保管しておくのしあよと言、

うと、村上様はなんでもご存知なんですねと言うので、これは色んな人から聞いた事を言うているのじあよ、医術は医師から聴いたのをまとめたものじあ、絵の部分は上手い者に書い、

て貰えば良いと言うと、


色々考えてみますと言うので、あの水車は田に、水をいれるのであろうが、羽が長くてそばに木のやぐらがあるがと聞くと、ハイ、あの小川では、水流が少ないので沢山水が必要な時、

あの長い羽に人が足をかけて重さで下にいかせ片方の足を又のせて下に回すのです、両脇の竹に捕まりやるのですが、あのやぐらは落ちた時に命綱をつけて怪我しないようにする為で、

すと言うので、


水の力と人の力を利用するのじあな、そなたが工夫したのかと聞くと、ハイ、水車は秋田の山間でやっているのを見たので御座います、それに少し工夫をしたのですと言うので、中々の、

工夫じあな、為になったぞと言って、ここの村は藁拭きではなく萱ぶきにしています、あの左の山が萱を栽培しています、古くなった家を順番に葺き変えるのです、藁も使いますが萱を、

使うと長持ちしますと言うので、


なる程それも工夫じあなと言うと、色々教えていただきありがとう御座いました、ここにアジの開き、いわしの丸干し、岩のり、塩辛、畑で取れた大根等の野菜、それにこの藁の中には、

大豆を発酵させた納豆と言うものが入っています、大豆を藁の中に入れておきますと、藁には納豆菌がいまして、中は暖かくて発酵しやすいので自然に発酵します、粘りと匂いがします、

ので人によっては嫌がる人もいますが、


大豆は野菜の中でも一番滋養の高いものですので体に良いそうです、においの苦手な人は鳥の卵を混ぜて少し醤油をたらせばにおいがなくなりますので、飯の上にかけて食せば飯が進み、

ます、あまりおかずがいらなくて飯が食べれますので、安上がりと言うわけです、この辺の百姓はどこでも作っていますと言ったのです、ほう、食してみよう、運び終わったようじあな、

それでは近くに来たときは寄るとしょうと言って、


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