第3話 夕方

学校が終わり、バイトに行く。


私はファーストフード店でバイトしている。



夜の客とは会わないように夜の時とは場所を変えている。



『四方山』


私の名札にはそう書かれている。もちろん本名だ。




「あれ〜?店員さん、どこかで会ったことありましたっけ?」


やばい。これは、今晩の客じゃないか。


「人違いだと思いますけど。ご注文はどうなさいますか?」


できるだけ声を変えて、顔を見せないように聞く。変装用のメガネをしてるとはいえ、コッチの私を知られるのは嫌だ。


「人違いだったか。すまないね。」


「いえ、大丈夫です。」


危ないところだった。




今晩はキャンセルするか。近いうちはやめておこう。



バイトが終わり、家に帰る。


私は今、一人暮らしをしている。




私の母は私の父と不倫していた。不倫の末にできた子が私。もちろん本妻にバレて父とは別れた。母と私の2人暮らしが始まった。


5歳の時に母は車に轢かれそうな私を助け亡き人となってしまう。


親戚に引き取られたが、厄介者扱いされ、親戚の家を転々とした。


高校生になったらひとり暮らしを始めるために中学の時から夜の仕事を始めた。


そもそも、親の遺産で暮らそうと思っていたのだが、親戚に使われてしまったようでほとんど残っていなかった。どうにかして稼がないとと思っていた。そんな時、この仕事に出会った。ある日、私は家に帰りたくなくて街を歩いていた。突然見知らぬおじさんに呼び止められ、5万円を見せられた。「これでどう?」と誘われ、その誘いに乗ったことがこの仕事の始まりだった。処女で中学生だったということもあり、上乗せしてくれて、その日は結局20万円貰った。






中2の夏のことだった。

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