第18話ゴールデンウィークになる
季節は5月のゴールデンウィークが近づいて来た。サトルは友人のタカが住んでいる岩手からその連休で上京する事を知り、共通の仲の良いトシも集合して「野菜雲」で飲みたいな、と考えた。
梨奈の出勤日を確認して、あおね店長に5月4日に予約したのだった。
そして当日、やはりゴールデンウィークという事もあって店内は混んでいたが、梨奈は何度も卓に来てくれた。
あおね店長も一度だけ来てくれたので、サトルは友人を紹介する事が出来た。タカとトシが、
「いつもサトルが迷惑をかけてしまい、すみません。」と言うと、
「いいえ、良い人ですよね。」
というあおね店長の返答を見事にスルーしながら、
「いつも遅くまで飲んでいるんですか。」
など、余程サトルが迷惑をかけているみたいに気を遣ってくれるのが有り難かった。
楽しい時間はいつだってあっという間でお会計になる。
お店を出るとき、サトルは意を決して梨奈を誘ってみた。
「このあと、みんなで飲まない?」
すると意外にも梨奈は、
「早く終わったら良いよ。」
と吝かではなかった。
トシはやはり終電までに帰るという事で、タカと立川を飲み歩いていた。梨奈から連絡がないまま夜中の2時くらいになったとき、「野菜雲」の前を通りかかったら、あおね店長と梨奈はまだまだ後片付けをしていたので、今日の飲みは無いなと悟った。
サトルはタカと顔を見合わせて、コンビニで差し入れを買ってきた。
梨奈は疲れているのに喜んでくれた。
明け方の空には野菜の形をした雲が浮いていた。
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