第10話 ついに念願のスキルをゲットした!
それから、俺とルシアちゃんはメロンを相手にレベルを上げに上げまくった。
畑が全滅してしまうから、とブレスを禁じられた俺はひたすら自前の爪だ。メロンは良いが、芋虫は勘弁願いたい。
だが、その結果。
『――≪リージェ≫のレベルが11に上がりました――』
『――≪リージェ≫がスキル≪竜爪斬・Lv.1≫を獲得しました――』
「よっしゃ!!」
思わずガッツポーズ。
俺はまた一つスキルをゲットした!
竜爪斬か。爪で引っ掻き続けたからかな?
スキルになったことで、どのくらい威力が上がるのかメロンを相手に試し斬り。
「血飛沫と共に踊れ」
斬ろうとしていたメロンだけでなく、その奥にあったメロンまでバラバラとなって果肉と蔓が舞い散る。
斬撃を飛ばす感じなのか。近くの方が威力があるようで、狙っていたメロンは細切れだ。
飛距離はそれほどでもない。ルシアちゃんの腕より少し遠いくらい。
まぁ、まだレベル1だしな。
「ふむ、まるで演舞のように美しいな。俺様に相応しいスキルだ」
ヒラヒラと葉や蔓が舞い散る様に満足して、そう呟いた時だった。
『――≪リージェ≫のスキル≪竜爪斬・Lv.1≫が≪血飛沫と共に踊れ・Lv.1≫に改名されました――』
「?!」
何かよくわからんが、またスキル名が変わった。
まぁ、かっこいいから良いか。
俺が産まれてから早くも一カ月。
焦れるようなルシアちゃんを横目に、いや、かなりガン見しながら俺は成長を続けた。
毎晩、女神像の前で祈るルシアちゃんの横で女神に呼びかけることも忘れない。
「おい、寝坊助の女神さんよ。いい加減ルシアちゃんの呼びかけに応じたらどうなんだ? じゃないと、暗黒破壊神たる俺様があんたの世界を全部いただいちまうぜ?」
もちろん、返答などない。
うーん、しかし、実はこの女神、とっくに起きてるってことはないだろうか。
ルシアちゃんが回復魔法を使う時の詠唱が女神に呼びかけて祝福の力を借りるって内容だし。
レベルアップやスキル獲得の声も何となく女性的だしな。
もし俺の仮説が正しいなら、いつまでもここにいる必要なんてない。
ルシアちゃんが「見習い聖女」から「聖女」になるに必要なのは祈りじゃなくて経験値。
つまり癒しの力を使わせまくってレベルアップすれば「聖女」になるんじゃね?
試してみよう。
それからの一ヶ月。俺はわざと怪我をしまくった。
が、心配性のルシアちゃんにはそれで充分。
俺が血を流す度にすっ飛んできて回復魔法をかけてくれるんだ。
そんなことを続けていたある日。
「あ?! やった! やりましたよ、リージェ様! 私、聖女になりました!」
「ふ、俺様の予測は正しかったようだな。今後も俺様のために励むと良い」
ルシアちゃんが感極まって俺を抱きしめながらピョンピョン撥ねる。
予想通り、なのだが、ルシアちゃんと違って素直に喜べない。
何故ならば……。
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【ステータス】
名前 : リージェ
レベル : 14
EXP : 249/3605
HP : 266/323
MP : 40/85
Atk : 336
Def : 115
スキル : タリ―語
我が劫火に焼かれよLv.3
血飛沫と共に踊れ Lv.5
鑑定 Lv.1
称号 : 中二病(笑)
害虫キラー
農家
ドM
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「誰がドMじゃあぁああああああ!!!!!」
誰が! いつ! 痛いの気持ちいいとか言ったよ?!
叫んでみても一度ついた称号が消えるわけでも無し。
もはや悪意しか感じんぞ、この称号。
だがしかし、ついに念願のスキルをゲットしたのだ!
「そう! 全てを見通す神の眼を!」
『――≪リージェ≫のスキル≪鑑定・Lv.1≫が≪全てを見通す神の眼・Lv.1≫に改名されました――』
……ブレスの時も思ったけど、スキル改名がアリならドMって称号も「痛みに耐えし者」とかに変えてくんねぇかな?
「…………」
あ、称号はダメなんですね。ちきしょうめ。
まぁ、気を取り直して早速効果を試してみるか。
「全てを見通す神の眼!」
じっとルシアちゃんを凝視し、右腕上げて左眼を隠し、爪の隙間から覗き見る謎のポーズを取る。
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【ステータス】
名前 : ルシア
レベル : 15
ステータス詳細の取得に失敗しました
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見通せてないじゃん!
まあ、レベルだけでもわかれば戦うか撤退するかの指標にはなるか。
レベルしかわからなかったのは、ルシアちゃんのレベルが俺より高いからなのか、それともスキルレベルが低いからかは検証の余地ありだな。
因みにメロンとか芋虫は……?
「全てを見通す神の眼!」
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【ザンナ・メロン】
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【ブルーコ・ヴェレ】
レベル : 1
ステータス詳細の取得に失敗しました
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「……」
うん、スキルレベルが低いからだな。メロンはモンスター化してないからステータスがないってことで。
ルシアちゃんが聖女になった今、ここに留まり続ける意味もないだろ。
ここじゃこれ以上の情報もレベルアップも見込めないし、出発しよう。
外のモンスターとやらがどのくらいの強さかはわからないけど、逃げ回ってりゃどうにかなるだろ。
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