アイドルと付き合うという事
「ねえねえ天音、うちのお姉ちゃんに聞いたんだけどさー、朋先輩に彼女が出来たって本当?!」
朝学校の教室に入ると、いつも朋ちゃんの……兄の話しをしてくるクラスメイトの亀井さん(仮名)が血相変えて私に話しかけて来た。
「さあ?」
とりあえずとぼけた振りをして誤魔化してみたけど、私慌ててないよね? 大丈夫よね?
「あ、そうかー天音は朋先輩と仲悪かったんだっけ、じゃあ知らないか」
え? 私そんな事言ったっけ? あーでも確かに朋ちゃん前は大嫌いだったからそんな事言ったかも、でも……今は……えへへへ
「天音? 何がおかしいの?」
「ううん、別に何でもないよ、で、なんだっけ?」
「だーーかーーらーー、朋先輩に彼女が出来たって噂、天音は知ってるの? って」
「ああ、えーーっと」
どうしようかな~~♡ 言っちゃおうかな~~~~♡ 私と朋ちゃんはラブラブって言ったら皆祝福してくれるかな~~?
「もうさ、お姉ちゃん達が必死で朋先輩を問い詰めてるらしいんだよ、誰と付き合ってるんだって、抜け駆けした奴は誰だ! って、本当酷いよねーー!」
「え? 抜け駆け?」
「そうだよ抜け駆けだよ~~、朋先輩のクラスには協定が出来ててさ、誰も手出しはしないって事になってるんだよ、朋先輩ってさ、顔とかで相手を絶対に選ばないらしいじゃん、だから他のクラスのカースト上位の女の子をことごとく振って、皆ざまぁって思ってたらしいの、だからクラス内では朋ちゃんに手を出さない様にしようって、私も前に天音に紹介してとか言ったけど、それをお姉ちゃんにポロっと言ったら凄く怒られてさー、もう大変だったよ」
そう言って亀井さん(仮名)がケラケラと笑う……え? 何? どういう事?
「あの……さ、朋……うちの兄ってそんなにモテるの?」
「は? 何言ってるの? あんな可愛い顔した男の子がモテない分けないじゃん、近くに居ると分からないの?」
「えっと……うん」
「朋先輩はこの辺りじゃあ奇跡の高校生って言われてるんだよ、朋先輩が歩くとそこには薔薇の花が咲くって言われてる、薔薇ってねえ、あはははは」
「はあ?」
「えっと……、天音はそういうのは知らないか……と、に、か、く、朋先輩はこの辺りじゃあ有名なアイドルなの、男女共に狙ってる人は数知れない、でもあまりに綺麗過ぎて殆どの人は高嶺の花って思ってるの」
「高嶺の花ですか……」
まあ……そうなんだろうな……朋ちゃんって可愛すぎるし
「それでもって、結構凄い美女や超可愛い子、果ては某学校で甲子園にも出た将来有望の野球部の人とかがこぞって告白したけど、朋先輩は片っ端から振ってたの、だから益々伝説のアイドルとして君臨してたんだけど」
「選手……」
「それが遂に堕ちたって、朋先輩を落とした奴は、抜け駆けしたのは誰なんだって、もう大変なのよ」
「へーー……」
「あーーー悔しいなーー、私もお姉ちゃんに怒られても良いから、アタックしてみれば良かったかもな~~」
「へーー……」
「でもさー朋先輩の彼女が普通の人だったら、これから大変だよねー」
「へーー…………え? な、な、何で?」
「だってさ、今まで凄い人でも振ってきたんだよ、だから皆私じゃ無理って思ってたのに、それが普通の娘とかだったら、私でも行けるかもって思っちゃうじゃん」
「あ、ああ……」
「協定とかも無くなって、物凄いアタック合戦が始まるかもよ、私もアタックしてみようかな~~、ねえ天音~~今度家に遊びに言っていい?」
「えっと、ダメかな?」
「えーーーーひどいーーー天音ーーーー」
「ほら亀井さん、そろそろ先生が来るからね」
「ぶううううう」
膨れっ面で席に戻っていく亀井さん(仮名)
そ、そんな事になってたの? 朋ちゃん私には何も言わなかった……
モテるとは聞いていたけど、まさかそこまでとは……学校処じゃない、本当のアイドル……確かに朋ちゃんは奇跡の美少女……あんな人他に居ない、どんな女の子よりも可愛いし…………いや、それより、朋ちゃんの相手が私ってバレたらまずいよね、だって私は可愛くないし、ガリガリだし、普通……ううん……今や普通以下……朋ちゃんに相応しくない……
朋ちゃんは超可愛いし、私じゃ不釣り合いだって分かってる……でも……私は朋ちゃんが大好き、超超大好き、そして朋ちゃんも私を好きって言ってくれてる……私たちはラブラブ、超ラブラブ……もう朋ちゃんが居ない生活なんて、人生なんて考えられない……朋ちゃんは私の命よりも大事な人……
もし……朋ちゃんの相手が私ってバレたら……大変な事になるかも……でも……言いたい、朋ちゃんは私の物って言いたい……朋ちゃんを取られたくない……
朋ちゃん……
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