僕は妹と、天音と付き合ってるんだああああ!


「吐け」


「…………」


「吐け……」


「…………」



「朋! 一体誰と付き合ってるの! まさかあんた男と……」


「だーーーかーーーらーーー彼女って言ってるだろ~~」

 一部の女子が男と付き合ってると縁が言った瞬間にきゃあと歓声をあげ色めき立つ……


 今は昼休み、やはり僕は更なる追求に晒されていた……


 いつの間にか女子数名が選出され、僕の周りに集まり、更に代表で縁が僕の取り調べをしてくる。


「だーーーかーーーらーーーそれが誰かって聞いてるの! 誰? 2組の澤口さん?」


「さわぐち? 誰?」


「あんたがこないだ振った娘よ!」


「名前も知らないよ! とーーにーーかーーく、僕は今付き合ってるの、女の子と、あとは黙秘!」


「あんた自分の立場分かってるの? 黙秘なんて許されないわよ!」


「立場って僕はただの学生だよ!」


「周りを見てから言う事ね」

 えーーだっていつも遠巻きにこそこそと僕の悪口言ってたんじゃないの?

 

「いや、だって皆僕の事嫌いなんじゃないの? 告白してきた女子を片っ端から振りまくりのいけすかない奴って思ってたんじゃないの?」


「少なくともうちのクラスでは気取ったカースト上位の女子をざまぁあしてくれる美人男子って認識ね」


「ざまぁって……」


「朋は高嶺の花なの、手の届かない、手を出しちゃいけないアイドルなの! うちのクラスの宝って事になってるの……だから……私も…………なーーーーーのーーーーーーにーーーーーー、誰なの! 教えなさい!」


「教えてどうするんだよ」


「別れさせる!」


「絶対に言わない!」


「じゃあ皆でいわってあげるから」


「今言葉ではいわってるって言ったけど、僕には呪ってるって字に見えたけど!」


「あら読者にしか分からない様に言ったのに」


「もう~~いくら言われても言わないよ! もうご飯食べさせて」


「分かったわ……でも」

 そう言うと縁は耳元で僕にだけ聞こえる声で言った。


「いつかはバレるから……朋に妹が出来た件は」

 僕は驚きの顔を隠せずに縁を見てしまうが周りに女子達が居ることを思いだしすぐに何食わぬ顔に戻した。


 縁を含めた女子数名がぞろぞろと引き上げて行き、それぞれがクラスの他の女子数名の中に入って行き今の会話の説明をし始める。



「ヤバい、縁は天音の事を知っている……」

 それを皆に言わない所を見ると、何だかんだ言って縁は味方何だろうか?


「それにしても……僕ってなんなんだ?」

 こんな女顔の男に何故? もっと男らしい奴一杯居るだろ? ほらサッカー部のあいつとか…………って何故あいつは僕と目を合わせて顔を赤らめてるんだ!


「はあぁ」

 僕は小さくため息をつくと、持ってきたサンドイッチを一口だけ頬張る。

「どうしよう、天音に相談したほうが……でもなんと言って?」


『ねえねえ、天音~~僕さ~~彼女が出来たって言ったらクラスが大騒ぎになっちゃった、本当モテモテで困ったよ~~~♡』


『は? 自慢?』


「あああああああ、駄目だ~~~~」

 こんな事言えない、いや客観的に見てなんだそいつって感じだよ、彼女にモテ自慢とか……しかもクラスが大騒ぎするほどって……


 駄目だサンドイッチが喉を通らない……、まさかこんな事になろうとは。

 一口だけでサンドイッチをしまう、ううう駄目だクラス中が僕を見ている気分だ。


 僕は周りを見ない様に机に突っ伏した。


「言わなきゃ良かった…………でも言いたかったんだ、あんな可愛い素敵な彼女が出来たんだから」

 もういっそ天音とデートをしてる所を皆見せちゃうか?


 学校付近の公園で天音とキスでもして、それを皆に見せれば………………あああああああああああ


 駄目だ~~~~僕が女の子の格好じゃないと、天音はキス所か手も繋げない

 

 そうだよ、僕が天音とデートしている所は誰にも見せられないじゃないか……


 少しでも男の子っぽい格好で……ってこないだ誓ったじゃないか、天音の前では出来るだけ女の子で居ようって

 数日で手のひら返しってそれこそ男らしくないよ、いや女の子っぽくする事を男らしくって自分でも何言ってんだかだけど


「詰んでるよこれ」

 僕は机に突っ伏しながら頭を抱えた。


 皆に天音の事は言えない、言えば天音とデートしているのが女装している僕だってバレる可能性が高くなる、かといってもう彼女が出来たって事は覆せない、そしてそれを天音には相談出来ない。


 そして縁は僕の彼女が天音だって薄々勘付いている?……


 うううう……どうすれば良いの~~~~?


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