兄の物語[20]負けず劣らず
「まぁ、あれだろ。俺らの中で誰かが無茶をするなんていつものことだし、気にしてもしょうがねぇじゃん」
「そういうのを放っておいたら、いつか痛い目にあうのよ!!! というか、その中に私を入れないでよね!!」
「何言ってんだよ、ペトラ。お前だって挑発されて、リッチ相手に一人で挑んだじゃねぇか」
「うっ!!」
四人の中で無茶をしたこない人物などおらず、過去にペトラもCランクで攻撃力だけならBランクに迫るリッチを相手に、三人の制止を無視して一人で挑んだ。
結果としてペトラは勝利したが、ボロボロになりながらの勝利だった。
「い、いつの話してんのよ!!!」
「いや、別にそんな昔の話ってわけじゃねぇだろ。なっ、クライレット」
「そうだね。割とペトラも熱くなる時はあると思うよ。まぁ、僕たちみたいに一人でそれなりに強い敵に挑むことはあまりないけどね」
最後にフォローは入れるものの、ペトラも割とあるよねと指摘。
「ふふ、どんまい。ペトラ」
「っ~~~~~~!!! はぁ……せめて、次は事前に言ってちょうだい」
「止めないなら、ちゃんと言うよ」
「さすがに相手によるわよ」
何はともあれ、目的のモンスターの討伐を終えた。
帰り道の間に何度かの戦闘を終え、ドーウルスに帰還。
「確かに……サイクロプスの、素材ですね」
討伐証明部位となる素材を提出し、割と良い具合の報酬金をゲット。
その後はいつも通り素材を売却して更に良い金をゲット。
フローラが手や足だけに集中して戦斧で斬り裂いていたため、毛皮などの質はかなり高く、そういった評価にも加算された。
(サイクロプスを倒しやがったのか……しかも二体。こりゃ本当にBランクに昇格するのも時間の問題だな)
(クライレットって奴の方は、対人戦に関しちゃ既にBランク並み……いや、Cランクの同業者を相手にあぁいった戦い方を出来るなら、技術に関しちゃ既にAランク並みか?)
(対魔物の腕がどれぐらいか解らないけど、サイクロプスを余裕で倒せる腕があるとなると、そっちの方も上に登る資格は既に持ってそうね)
(上の人たちは年齢云々で揉めそうだけど、リーダーのクライレット君はゼルート君のお兄さんなんだよね…………いや、彼の場合贔屓なしでさっさと上に上げた方がギルドの為にもなるだろうね)
(利益や戦力保持を優先するなら、さっさと上げるべきなんだろうけど……そうなると、またこの前みたいなやり取りが起きそうだな)
本当の意味でベテランの冒険者たちは心の中であれこれ考えていた。
四人の実力は認めており、特にリーダーのクライレットに対する評価は高い。
二十を越えていない状況を考えれば、喧嘩を売ってきた相手を完封した後、アドバイスまで送った。
まだ成熟した年齢ではないことを考えれば、器の大きさも並ではないと評価出来る。
ただ……この先彼らのランクが勢い良く上がれば、それだけ先日の嫉妬ボーイズの様な者たちが増える。
彼等は既に活動を再開しているが、これまでと比べて明らかに覇気がなくなっている。
ギルドが将来有望視していた貴重なパーティー……などではないが、それでもこのまま着実に成長していけばCランクまで上がれだけの素質は持っていた。
(私たちからも、彼らの昇格を後押しした方が良いかしら?)
(恩を売れるかはさておき、そういう感じだけでも縁をつくっておいて損はねぇよな)
(生意気そうに見えて、それだけじゃねぇし……なにより、クールぶってるだけのスカした野郎じゃねぇ……背中を押すのも、やぶさかではねぇってやつだな!!!!)
冒険者が昇格試験を受ける際、他の冒険者……CランクやBランクの同業者たちからの的確な内容の推薦があると、ギルドとしても彼らにチャンスを与えようと思いが強くなる。
だが、先輩同業者たちからの後押しもあって昇格試験を受ける前に……またルーキーたちに小さくない衝撃を与える事件が起きた。
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