少年期[918]今頃海はめちゃくちゃ

「よっしゃ、今日も頑張って探すぞ!!」


一日目の成果はゼロ。


海中に生息する魔物や美味な貝などを手に入れるだけで、一日が終了した。

全くダンジョンの手掛かりを得ることが出来なかったが、それぐらいで諦めるゼルートではない。


二日目も勢い良く海にダイブし、長時間の潜水がスタート。


(今日もいつも通りだな……もしかしたら、ダンジョンがあっても周囲に強い魔物が守ってたりするのか?)


絶対にあり得ない考えではない。


とはいえ、探す範囲が広すぎるため、そう簡単に強い魔物すら見つけられない。


(まっ、魔物を楽に狩れる方法が見つかったから、狩りは随分楽になったけど)


非常に珍しい音属性の攻撃魔法は、海中で放つとスピードが上がるため、いくら海の中は自由自在に動ける魔物たちであっても、避けるのは非常に難しい。


そういった発見もあり、襲ってくる魔物の対処は楽になった。


だが、やはり一つに固まって海中を操作するのは効率が悪い。

改めてそれを感じたゼルートは、仲間に指示を出す。


『それじゃ、昼過ぎ頃には一旦地上で合流な』


『はい、分かりました! お気を付けて』


『おう、そっちもな!』


人間組と従魔組で別れ、探索を再開。


アレナとルウナも海中での戦いに慣れてきてはいるが、海中戦の練度はやや従魔組の方が上。

特にラームは頭一つか二つ抜けている事もあり、音による攻撃を行えるゼルートがアレナとルウナの二人と一緒に行動するのが決定。


戦闘大好きなルウナとしては……ほんの少し不満な決定ではあった。

しかし、真っ当な強者に相応しい考える頭は持っているため、まだまだ自分の力不足は自覚出来ていた。


海中での動きに慣れてきた自分たちが二組に別れれば、意外と早く見つかるかもしれない。

そんな淡い期待が浮かんだゼルートだったが、四時間後にその期待はあっさりと打ち砕く抱かれた。


「…………」


「ぜ、ゼルート。大丈夫?」


「おぅ、大丈夫だ」


口ではそう言いながらも、明らかに顔に元気がない。


「ゼルート殿、我らが不甲斐ないばかりに申し訳ない」


「ごめんね、ゼルート」


「申し訳ありません、ゼルート様」


「いやいや、お前らは何も悪くないっての。俺が二手に別れれば意外とあっさり見つかるかもしれない! ってちょっと期待し過ぎてただけだ」


海では何が起こるか分からないため、魔力量が尋常ではないにも関わらず、感知系のスキルにむやみに魔力を消費しなかった。


そうしていれば、今頃海中ダンジョンを探索出来ていたかもしれない。

そう思うと……更にテンションがダダ下がる。


(……いや、待てよ。そもそも俺らがどれだけ頑張っても探しても、数日やそこらで探索出来るエリアには海中ダンジョンなんて存在しない……か)


海の中にもダンジョンはある。

その確信通り、海中にダンジョンは存在する。


ただ……ダンジョンは長い期間、人がダンジョン内の魔物を倒さなければ、ダンジョン内に生息するモンスターが溢れ出してしまう。


以前それが地上のダンジョンで起こり、ゼルートを含めた多くの実力者たちが参戦し、最後はゼルートがSランクの魔物である悪獣を倒すことで、事件は鎮火した。


(そうだよな。海中のダンジョンは見つけられにくくて、そもそも人が中々辿り着けない。そうなると、あっという間にいくつものダンジョンから魔物が溢れて海は大混乱……生態系が崩れるか?)


「ゼルート、何をそんな悩んでるの?」


「いや、ちょっとな」


今考えていたことをアレナたちに伝えると、全員「なるほど~」といった表情を浮かべ、ゲイルやアレナなどは何度も頷いていた。


「そうね……そんなにほいほい見つかるほど多かったら、ダンジョン内の魔物が海に溢れそうね」


「ん~~~~、あれか。そうなると、交易船とかに大きな被害が出るのか」


「そういった被害が多発するわね。でも、交易船が何度も何度も魔物に襲われて、どんな冒険者たちでも数の多さに対応出来なかった、なんて話は聞かないし…………まぁ、やっぱり気長に探すしかないわね」


仲間の言葉に、それしかないと思い……解ってはいた事ではあるが、小さなため息が零れた。

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