少年期[816]経験からくる強さ

レイリアたちの方に、Cランクの冒険者を行かせてしまった。


クライレットらしくないミスだが、これには原因があった。


「お前があれか、ゼルートって化け物の兄貴か」


「ほぅ……僕の情報を知ってるのか」


自分は弟のゼルートや、両親と比べたらまだまだな存在。


クライレットは本気でそう思っているが、他の人間からしたらクライレットも十分ヤバい存在であることに違いはなかった。

学園では常にトップに立ち、勿論首席で卒業。


冒険者になってからは直ぐに頼れる仲間と出会い、最速でランクを上げている。

そしてギルドとしてはクライレットたちをDランクに留めているのは勿体ないと思い、一応例はあるが……圧倒的な早さでCランクに上げようと考えている。


(……なるほど、努力する天才様って奴か)


優れた才能を持つ人物であっても、当然その才能に酔いしれて努力しない者と、現状に満足することなく道を進み続ける者がいる。


当たり前だが、クライレットは後者。

同じパーティーメンバーであるバルガス、フローラ、ペトラも同種。


四人を見ていると、男はいずれ四人は自分をあっさり追い抜いていくと思えてしまった。


(まっ、それでも今は俺が上だけどな)


男は自身の実戦的な実力でBランクまで駆け上がった強者。

その実力に嘘はなく、ここまで大した傷を負うことなく到達し、四人の意識を自分に集中させて同国の同業者を生徒たちの方に仕向けることに成功。


「それじゃ、未来の怪物たちを潰させてもらおうか」


「悪いが、そう簡単に潰されるつもりはない。そして、後ろの生徒たちも……簡単に潰されることはない」


「自信あり気だな……まっ、せいぜい頑張れよ!!!!」


一旦他の冒険者たちに他の敵を任せ、クライレットたちは目の前のBランク冒険者に集中し、一糸乱れぬ連携で対抗。


(自信あり気に宣言するほど、力はあるな)


一瞬の攻防でクライレットたちの力量を把握。


身体能力の面ではBランクの男が上だが、やはり数の有利はある。

Bランク冒険者一人、Dランク冒険者四人の戦いとなると……数が多くてもBランク冒険者の方が有利と思われるのが一般的。


その考えは間違っておらず、Bランク冒険者側が前衛タイプであれば、間違いなくDランクの四人は勝てない。

だが、今回のDランク四人はそんじょそこらの若造とは違い、此処の実力と連携度も並ではない。


(さっさとゼルートの兄貴のこいつを潰したいんだが……他も他で厄介なんだよな)


レベル差があり、身体能力や武器の性能にも差があっても、四人の攻撃を食らって無傷とはならない。

特にクライレットのレイピアを使った攻撃であれば、当たり所が悪ければ重症になる可能性もある。


(ただ……それでも先輩として、きっちりやることはやらないとな)


男は前衛であり、更にパワータイプだが……装備しているマジックアイテムを使用すれば、四人の連携を崩すのも難しくはない。


加えて一分から二分も戦えば、大体どういった連携プレイなのか把握し……連携の先を読むことが可能。


「おらっ!!!」


「がっ!?」


クライレットの一撃をガントレットで防ぎ、バルガスに蹴りを入れて吹き飛ばす。


「この!!!!」


「あめぇよ!!」


フローラの土の魔力を纏った大斧による斬撃を魔剣で受け止め、クライレットの連撃を再びガントレットで対応しながらフローラを斬り飛ばす。


今のところ大出血などの大ダメージはないが、それでも体内は損傷しており、決してダメージは少なくない。


(やはり、強いな)


クライレットはBランク冒険者と対峙してから、スキルやマジックアイテムをフル活用し、全力で殺しに掛かっていた。

なんとしてでも前の前の同業者を殺し、早く妹たちを狙う冒険者たちを始末しなければならない。


それらの想いから、全力で目の前の男を殺すつもりで動いているが……大きなダメージは負わせられず、仲間が動きを読まれてダメージを負う羽目になった。


(……まだ、使う段階ではない)


それでも、クライレットの眼の奥はまだ死んでいない。

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