少年期[801]宙を飛ぶ人
「ふふ、流石ガレンね」
レミアは後方からガレンの活躍っぷりをしっかり見ていた。
「私も頑張らないと!!」
そう言いながら詠唱破棄でバンバン攻撃魔法を発動し、これまたガレンの風に負けない鋭さで敵兵たちを倒していく。
ゼルートも魔法に関しては才ある方だが……レミアもゼルートに負けないくらいの才を持っている。
実戦や鍛錬を積み重ね、火魔法に関してはスキルレベルをカンストしている。
故に……味方に火をぶつけてしまうことなあり得ない。
火球、火槍、噴火、火刃。
様々な火魔法を巧みに扱いながら前衛で戦う兵士や騎士、冒険者たちのサポートを行い……タイミングが合えばそのまま止めを刺す。
(いったいどれほど成長するのやら……ご子息であるゼルート様の特大魔法も驚かされましたが、レミア様の技術に圧倒されますね)
(あんなにバンバン魔法を使ってるのに、全く魔力が衰える気配がない……やっぱり元Aランクは伊達じゃないと言いますか、なんだかんだで規格外と言いますか)
男爵家だが、ゲインルート家には立派な魔法使いたちも所属している。
中にはかつて、国に仕える魔法使いもいるが……そんな魔法使いから視ても、レミアの腕は宮廷魔術師に劣らない。
寧ろ勝る部分の方が多いと感じた。
(内部の権力状況などを考えれば難しいかもしれませんが、団長になれる実力が十分にある。そしてそれはガレン様の剣技も同じ)
国に仕えていたこともあり、同じく仕える騎士たちの動きは何度も見たことがあるが……ガレンにタイマンで勝てる騎士が殆ど浮かばない。
「あら、少し……助太刀した方が良さそうね」
ガレンがBランクの冒険者たちを相手にしている隙に現れた騎士に、ゲインルート家に仕える騎士の中でもトップクラスの騎士が対応。
しかし対人戦であれば、ガレンが対峙した赤髪の男よりも上の腕を持つ。
ゼルートが兵士や騎士、魔法使いたちの為に色々とタダで渡したことは勿論知っている。
絶対に死んでほしくないとい気持ちも知っており……勝率は決して低くはないが、万が一を考えて超高速の炎槍で援護した。
前に出て戦っていた騎士はその援護を有難く想い、レミアが生み出した隙を逃さず首を斬り捨てた。
「ふむ……どうやら、俺の出番はまだまだ先か」
「あら、ブラッソは充分に私たちを守ってくれてるじゃない」
レミアたち魔法使い組を守るために、ブラッソはガレンたちと一緒に前に出ず、レミアたちを狙う輩を蹴散らしている。
「あぁ、そうだな」
「ぐあっ!!!!????」
「なんだ、このオーガは!?」
「こっちにも、戦力を投入しろ!!!!」
ブラッドオーガのブラッソが如何に恐ろしい存在なのか、元々普通のオーガではないと解っていたが、実際に戦闘が始まってみると……敵国側の兵士や冒険者たちは紙屑の様に吹き飛ばされていく。
ブラッソは現在、ゼルートから貰った大剣などを使っておらず……ガレンがこの時の為に事前に用意していた、ミスリルの棘棍棒を振り回していた。
ゼルートが渡した大剣も十分ヤバいが、ガレンがブラッソの為にミスリルを集め、鍛冶師に造ってもらった棘棍棒も十分におっかない業物。
ブラッソの腕力は既にSランクの領域に突入しており、ランクが……実力が低い者ではどうしようも出来ない。
奇跡が起こったとしても、一矢報いることなど不可能。
棘棍棒が振るわれる度に、人が宙を舞う。
(レミアたちを守るのは勿論重要な仕事。それは解ってはいるが……これでは、なんだから楽をしている様な感覚だが)
自分に碌な傷を与えることも出来ない相手を、ただただ身体強化する使わずに吹き飛ばす。
レミアたちを狙って襲いに来る敵を蹴散らし、しっかりと仕事はしている。
だが、ブラッソからすれば楽をしている……と、感じてしまう仕事内容だった。
(……いかん。俺がここを離れる訳にはいかないのだ)
邪な考えを頭から消し飛ばしていると、特大……とまではいかずとも、強力な攻撃魔法がレミア達の方向に飛んできた。
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