少年期[741]自分のも充実させている
「…………」
ゼルートの言葉に返事を返さず、ガレンはテーブルに置かれたロングソードを手に取り、鞘から引き抜いた。
「……ゼルート、お前これはもしかしなくても、聖剣だろ」
「はい。ホーリーパレスの六十層のボスを倒した際に手に入れた聖魔石や他の素材を使って、一流の鍛冶師に……父さんの為に造ってもらいました」
ゼルートの言葉通り、聖剣ホルガストは一流の鍛冶職人であるオルガがガレンの為に造った風の聖剣。
「綺麗……」
鞘から引き抜かれた聖剣を見て、セラスの口からそんな感想が零れた。
口には出していないが、レミアも娘と同じ感想を抱いた。
(セラスの言う通り、本当に綺麗な聖剣ね……質だけではなく、外見のレベルも高い……紛れもなく一級品の聖剣ね)
聖剣といえど、勿論ランクが存在する。
聖なる力は宿っているが、属性が付与されていない。
ゴーストやゾンビ系のモンスターには有効打になる……といった効果しか持たない聖剣もある。
だが、現在ガレンが手に持つ聖剣ホルガストはそんな生ぬるい品ではなく、確かな実力者が持つに相応しい聖剣。
「ふぅーーーー……ゼルート、この聖剣を造るのにいくら掛かった。鍛冶師に素材を渡したとしても、製作費が掛かるだろ」
「えっと、白金貨三十枚です」
「はぁ~~~~、それぐらいだと思った」
セラスは白金貨三十枚というのがどれほどの大金かピンと来ておらず、ポカンとした顔。
だが、アレナとルウナはガレンの気持ちが良く解り、苦笑いを浮かべていた。
「あらあら、中々使ったわね」
「まぁ、そうだね。でも、ダンジョン内で手に入れた宝箱からお金をゲットしたり、倒したモンスターの素材をギルドで売ったりしてるから、そこまで懐にダメージはないよ」
あまりにも太っ腹なセリフに、母のレミアも二人と同じく苦笑い。
そんな中、ホルガストを手に持つガレンだけが悩ましい表情を浮かべていた。
「……ゼルート、お前はダンジョンで新しい武器を手に入れたりしたのか?」
この武器を、息子が自分の為に金を払い、一流の職人に頼んで造ってもらったのは分かる。
そして柄を握れば、自分が得意である風属性であることも解り、息子からのプレゼントが本当に嬉しいと感じる。
だが、それでも子供が親に渡すプレゼントとしてはあまりにも高価過ぎる。
無論、ゼルートが圧倒的に稼いでいるということは知っている。
しかし……この聖剣を売れば白金貨三十枚以上の値段が付くのは間違ない。
ただでさえ、紫電の牙という名の短剣だけでも十分過ぎるほどのプレゼントだと感じていた。
「少し前に参加したオークションでこの聖剣ホルガストと同じ聖剣……属性は違いますけど、聖剣ガラドボルグを手に入れまし。ランクは八です」
アイテムバッグの中から実際に取り出し、鞘から抜いて二人に見せる。
今でも一流の戦闘者である二人は、ぱっと見るだけで鑑定系のスキルを使わずともガラドボルグが本物の聖剣であることが解る。
「そ、そうか……良い聖剣を手に入れたな」
「あまり使う機会はないと思うんですけど、ちょっと欲しいなと思って」
その結果、とある貴族の令息に頼まれて聖魔石をホーリーパレスで手に入れる流れとなったが、ホーリーパレスでの探索は非常に楽しかったので悪い結果ではなかった。
「あと、ダンジョンからミスリルデフォルロッドというミスリル製の形状を自在に変化出来る武器もゲットしました。基本的にはこれをメインに戦おうと思っています」
指輪状のミスリルデフォルロッドをロングソード、槍、短剣へと形状を変化させる。
目の前で自在に形が変わる武器を見てセラスははしゃぎ、ガレンとミレアは何も言えない状態となった。
(全く……そこまで自分の装備も充実させているなら、受け取らない訳にはいかないな)
ホルガストを鞘に納め、先程のゼルートと同じくガレンは真剣な眼を向ける。
「ありがとう、ゼルート。存分に戦場で振るわせてもらおう」
「楽しみにしてます」
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