少年期[559]まだ一撃で終わる
「さてと、今日も頑張って行きますか」
宿で快眠を取ったゼルート達は朝食を食べ終えた後、早速ダンジョン探索へと向かった。
その日はダンジョンに入る際、特に問題無く入ることに成功。
そして二十一階層への入口へと跳んだ。
「次に地上に戻るまではある程度楽しめそうな魔物と遭遇しそうだな」
「確か、四十階層か五十階層のボスがエボルサーペントだったっけ?」
ゼルートが遭遇してみたい魔物は四十階層のボスとして君臨している。
そしてゼルートと同じく、ルウナもエボルサーペントと戦ってみたいと闘争心を燃やしていた。
「ニ十階層からは一階層の広さが広くなっているけれど……最短ルートが分かっていればそこまで問題無さそうね」
「だな。でも……三十階層過ぎた辺りからは宝箱はなるべく回収しようと思う」
ゼルート達がギルドから買い取った情報には、その階層に出現した宝箱から手に入った物の内容も書かれている。
ニ十階層まで降りてきた六人は、ボスを倒したクリア報酬意外の宝箱は殆ど見つけていない。
そしてやはり冒険者としては、例えそもそも金や武器が充実していようとも、宝箱の発見はテンションが上がる。
それはルウナもアレナも同じであり、ゲイル達三人もそれに関しては少々ワクワク感を持っている。
「魔物もやっぱりある程度ランクは上がっているな」
「そうね。今のところ苦戦するような魔物は出ていないけれど、確かに強くはなっているわね」
「う~~~~ん、僕としてはちょっと物足りないな。もう少し強い方が楽しいよ!!」
「ラームに同感だな。強くなっているとはいえ、一撃で終わってしまうのはつまらん」
二十一階層になってから遭遇する魔物は必ずEランク以上の魔物となっており、割合としてはDランクが圧倒的に多い。
(遠目だったから確信は持てないけど、チラッと三体のロックゴーレムと戦っているパーティーが見えたな。パーティーが有している戦力によっては相性最悪って場合もあるだろうに……このダンジョンってそういうところ厄介だよな)
基本的には多種多様な魔物が生息しているのだが、比較的防御力が高い魔物が多い。
戦い慣れている者であれば斬撃系の攻撃でも倒せるのだが……実力によっては武器を壊されてしまう事もある。
ロックと名の付く魔物は防御力が高い。
しかし、その代わりにスピードが少々遅い……だが、偶にそれを無視する魔物も存在する。
ロックワームなど良い例であり、地中を自由に移動するので下からの攻撃も気にして戦わなければならない。
そしてポ〇ケ〇ンの様に水系の攻撃を放てば大ダメージになるという事もなく、重要なのはその防御力を超える斬撃と打撃、もしくは衝撃と貫通力。
物理的にぶっ潰す打撃では無くとも、体の中に衝撃を与えればその体は崩れる。
(ホーリーパレスって呼ばれてる割には白い体を持った魔物は今のところあまり現れないな)
現在二十四階層までダッシュで降りてきているが、白い体を持った魔物はホワイトスネークしか出会っていない。
ランクCに近いDランクの魔物であり、その体は大蛇と言えるほど大きくは無いが全長三メートルほどはあり、人を締め付けて殺すには十分な力を持っている。
そして珍しく雷の魔力を有しており、耐性の無い者にとっては脅威となる攻撃だ。
雷を纏う尾やブレスを受けて体が痺れ、その隙を突かれて殺されてしまう例が多い。
ただ、ゼルート達の中にはゼルートを含めて雷に耐性を持つ者が多く、あっさりと討伐されてしまう。
「ゼルート、少し先にサイクロプスがいるぞ」
「へぇーーー……サイクロプスか。それはまた珍しいな」
ランクBに該当する巨人の魔物。
特徴はその全てを破壊する腕力。個体の中には属性魔力を纏う存在もいるので厄介な魔物と言えるだろう。
「……あいつと戦いたいやつはいるか」
ゼルートがそう尋ねると、ルウナとゲイルが手を上げた。
「あら……まっ、良いや。二人であんまり時間を掛けない程度に倒してくれ」
「分かった」
「畏まりました」
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