少年期[481]早めの方が良い
実家に到着すると、直ぐに執事やメイドさん達が迎えてくれた。
そして応接室で待っていると、速攻で父さんと母さんがやって来た。
因みにゲイル達はブラッソと色々と話をしている。
「久しぶりだな、ゼルート!!!」
「少し大きくなったんじゃないの」
「そうかな? 大体一年ぐらい経ってるし、少しは大きくなったかもしれないね」
事実、少しづつだがゼルートの身長は伸びており、順調に伸びていけば父親であるガレンと同じぐらいまで伸びる。
「お二人がアレナさんとルウナさんだな。うちの息子が世話になっている」
「ゼルートの仲間になってくれて本当にありがとうございます」
「あっ、いえ、あの……こ、こっちこそゼルートにはいつも世話になりっぱなしで」
「うむ、アレナの言う通りだ、です。ゼルートと合わなければきっと碌な人生を歩めていなかった筈、です」
自身が尊敬している元冒険者のガレンとレミアから丁寧に挨拶されたことに対し、アレナはテンパりながらもなんとか返す。
ルウナも相手が自身の命の、人生の恩人であるゼルートの両親ということでなんとか普段は使わない敬語を使おうと四苦八苦する。
「一応貴族ではあるが、元は君たちと同じ冒険者だ。言葉遣いは気にする必要は無いぞ」
「そうよ、もう少し気楽に話しましょう」
「わ、分かりました」
「それは有難い、是非そうさせて貰う」
アレナはまだ少し緊張が残っているが、ルウナは二人から言葉遣いを気にしなくて良いと言われたことで、体から緊張感は抜けていた。
「にしてもやるじゃないかゼルート! 悪獣ぶっ倒したんだってな」
「あぁ、ぶっ倒してやったよ。ただ、Sランクの魔物なだけあって本当に強かったけどね」
身体強化に疾風迅雷、そして自身の体に付与している十の重りのうち、九まで外す事で勝てた。
ゼルートが今まで生死を賭けて戦ってきた魔物中で一番の実力を持っていたのは確実。
「ところで、まだランクはDのままなの? 特例でBまで上げても問題無い気がするのだけど」
「ん~~~……最終的にはやっぱり父さんや母さんと同じ、Aランクまで行きたいと思ってるよ。でも、別に功績を手に入れたからって焦る必要は無いし、急に上に登っても面倒が待ってるだけだと思うし」
ゼルートが考える通り、急激に上のランクへと駆け上がれば強力な後ろ盾が無い限り、面倒が待っているのは間違いない。
しかし、冒険者ギルドの本部ではゼルートをSランクまで一気に上げよう……とは考えていないが、ゼルートがSランクまで駆け上がる道を用意しようと考えている幹部はいる。
「ゼルート、その考えは否定しなけど実力があるのに下のランクに留まるのも同じランクの同業者から良く思われないのも事実よ」
「アレナさんの言う通りよゼルート。少しは後ろ盾を得たってんでしょ? それなら速いうちにせめてBまでは上がっておいた方が得よ」
「そうなの? う~~~ん……それなら取り合えず今度Cランクの昇格試験を受けられるか確認してみるよ」
実際、ゼルートには既にCランクへの昇格推薦状がギルドから届いていた。
多くの冒険者は直ぐに昇格試験を受けようとするのだが、それでも先輩冒険者と比べてまだ自分は劣っていると考える者などは試験を受ける期間を先延ばしにする事がある。
ゼルートの場合は、推薦状が来た時期が季節が冬に変わろうという時だったので、面倒に感じて今まで放置していた。
(別に他の同業者との中が悪くなりたい訳じゃ無い。クソみたいな奴らには寧ろ嫌われたいけど。でも、実家に滞在する期間が終われば規模が大きいオークションを開催する街に行くつもりだから、昇格試験はその後になるだろうな)
なるべく早く受けた方が良いのかもしれない。
しかしゼルート達に嫌がらせしようものならば、二倍三倍になってダメージが返ってくる。
それが解っているので特にベテラン以上の冒険者達はゼルートの事を噂でしか聞いたことが無い者も、先輩面して喧嘩を売ろうなどとは考えていない。
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