少年期[242]俺一人で

ゼルート達がペースを落とし始めてから更に数日、五人の動きは格段に向上していた。

自身と同レベルの魔物と戦い、動きを修正しながら更に戦う。

行っている事は完全にスパルタだが、休みが無い訳ではなく栄養補給もしっかりとしているため、根を上げる者は一人も出なかった。


そして目的であるボスの部屋まで後三階層の場所で、安全地帯で夕食を食べているゼルートの表情が気になったソブルは軽く声を掛ける。


「夕食中にそんな顔をしてどうしたんだゼルート君?」


「いえ、大した事じゃないですよ。今回の事には関係ないですし」


ゼルートはソブルに大嘘で返す。今回のセフィーレの護衛という件に関して大きく関わる。

ルウナは少し離れたところから店で嗅いだ事がある匂いが自分達を付けている事を知っており、それが誰の匂いなのかも分かっていた。


アレナは二人ほど確信していないが、ゼルートの表情から何を警戒しているのかを理解する。


「何か私達の動きに良くない所でもあったか? それなら遠慮しないで言って欲しい」


ゼルートの表情に何を勘違いしたのか、カネルはゼルートが自分達の動きに無駄なところがあるのかと思い、遠慮せず自分達に伝えて欲しいと言う。


「いや、良くない所なんてなかったですよ、本当に。ただ、ちょっと個人的な悩みなんで気にしないでください」


その場はなんとか追及される事無く終わるが、テントの中に入るとアレナとルウナの二人からストレートに尋ねられる。


「ゼルート・・・・・・あの三人はあなた一人で対処する。それでいいのね」


「ああ、別に三人がかりで戦う必要はない相手だしな」


「・・・・・・まぁ、確かに戦っても面白味の無さそうな相手ではあるな」


「ったく、そういう話じゃないっつーーーーの。それで今日あたりで釣ろうと思ってな、ラルには中で寝て貰う事に・・・・・・うん、既に寝てますね。てな訳だからあいつらは俺が片付けるから」


ぐっすりと専用の布団で寝ているラルを撫でながらゼルートは冷めた声で告げる。


「分かったわ。活かすにしろ殺すにしろ、そのあたりはゼルートに任せる。けど、マジックアイテムによる搦め手だけに注意しておきなさい」


「了解、二人はゆっくりしておいてくれ。先に寝ていても構わないからな」


二人に向けて手を振ったソウスケは足音を消し、無音でテントの外に出る。


「疾風迅雷」




「どうやら全員テントの中に入ったみたいだな。よし、今から二時間後に仕掛けるぞ。それまで退屈かもしれねぇが、待っている褒美の為に我慢しておけ」


「へっへっへ、想像するだけで涎が止まらないっすね」


「ザーキスの言う通りだぜ。あんな上玉が五人も・・・・・・考えただけで元気になっちまうぜ」


食堂でゼルートに骨を粉々にされた蛮族冒険者と腰巾着三人は高い金を払って、様々なマジックアイテムを用意した。


ドラゴンスレイヤー・・・・・・竜殺しの効果が付与されている短剣、マジックアイテムの効果を阻害する水晶、攻撃を反射する事が出来るバックラー等々。


完全に様のない三人を殺すために準備万端でゼルート達の後を付けて襲うタイミングを窺っていた。

そして従魔であるラルがテント内に入り、番犬ならぬ番竜がいなくな事を確認した三人は、作戦を結構する事に決める。


「あまり大声出すなよお前ら・・・・・・折角の獲物が起きちまうからな。まぁ、気持ちは分からなくもないけどな」


下品な声を小さく上げる三人はテントから一人だけ出てくるを確認する。

すると出て来た人物はその場から消え・・・・・・一瞬で自分達との距離を残り四メートルまで詰める。


「・・・・・・お前ら、そんな下らない事してる暇があるなら普通に冒険者として働けよ」

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