少年期[228]同じ手を二度は喰わない

自分の脳天目掛けて振り下ろされる大剣に対してルウナは驚きながらも即座に対応してみせた。


「ちっ!! 本当に頭を使うな」


振り下ろされる大剣の側面に右足で蹴りを入れる。

オークが振り下ろした大剣は業物と言えるほど上等な物でない為、ルウナの蹴りにより甲高い音を立てて折れてしまった。


だがそれだけでは止まらず、体を空中でうつ伏せにして左足の踵でオークの顎を蹴り抜いた。


「ブゴッ!!??」


「感触からして骨はしっかりと砕けたな」


顎の骨を砕かれた事で動きが止まったのを見逃さず、今度は心臓に抜き手を放って息の根を止めた。


「・・・・・・こいつら本当に戦い慣れているようだな」


オークやゴブリン達は先程と同じように間を空けてルウナに投擲を始めた。そして奥にはオークハイ・メイジが呪文を唱えていた。


「ただ、同じ攻撃は無意味だと分からないのは残念なところだな」


ルウナは右手に火の魔力を纏い、槍状に変えてからその場で正拳突きを放った。


「炎槍拳!!!」


槍なのか拳なのかよく分からない名前の技をルウナが放つと、勢いは火魔法の一つ・・・・・・フレイムジャベリンと比べて火力は同等程度だが、正拳突きによる速さがプラスされているので魔物達はルウナが放った炎槍拳に全く反応する事が出来なかった。


降りかかって来る投擲物を熔かし、オークハイ・メイジの盾となるように立ちふさがっている魔物の体を容易に貫き、奥のオークハイ・メイジが呪文の詠唱が終わる前に腹に大きな穴を開けて倒し終えた。


一瞬の出来事により魔物達は何が起こったのか理解する事が出来ず、統率者である一人が殺された事により次はどう行動すれば良いのか判断する事が出来ず迷いが生じた。


上位の魔物により統率され、作戦を予め立てて行動していた魔物達はダンジョンの魔物として生まれ持っていた、相手がどれだけ格上でも臆する事無く立ち向かう特性とも物が失われかけているため、修羅のように止まらないルうの名の動きに反応する事は不可能と言える。


「どうした、どうした!!! 動きを止めるという事は死にたいっていう事で良いんだな!!!」


身体強化のスキルと魔力をを体に纏って強化しているルウナの攻撃を数体のゴブリンやオークは、一切反撃する事が出来ずに手刀で斬り裂かれ、ハイキックで首が跳ね飛ばされる、そして体をルウナの自慢の爪で深く裂かれる。


しかし堕落仕掛けてもダンジョンから生まれた魔物、直ぐにルウナへ総攻撃を仕掛ける。


剣に槍や斧と短剣等を使ってルウナに技を放つ、己の五体を使って全力で叩き付けようと拳や蹴りを加える。

数は十数とかなり減ったが、それでも全て喰らえばルウナとて無傷では済まない。


ただ、ルウナと魔物達ではある一点の差が大きく開いていた。


オオカミの獣人であるルウナの最速は疾風迅雷を使ったゼルートに迫る。


そんなルウナに身体強化を使っていても魔物達の攻撃が当たる事は無かった。


「もしダンジョンに死んだ魔物の魂が生まれ変わるという機能みたいなのがあるなら、今度はもっと強くなって私に挑んできて欲しい」


ルウナは演武の様に攻撃を躱しながら魔力を刃状にし、魔物達の体を斬り裂いて戦いを終わらせる。


斬り裂かれた魔物達の体からルウナが全ての魔物を斬り終えてから傷口から血潮が噴き出して地面に倒れ伏した。

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