冒険がしたい創造スキル持ちの転生者

Gai

少年期[212]慣れよう

戦いが終わってから少し経った後、取りあえずジェットイーグルはゼルートのアイテムボックスの中に、ボスを倒したことで現れた宝箱はソブルのアイテムバックの中に入れることになった。


ジェットイーグルをゼルートのアイテムボックスの中に入れた理由は単純に鮮度を保ったまま、上に戻った時に解体が出来るから。

セフィーレ達が倒したと言う事で、宝箱はソブルのアイテムボックスの中に入っているが、セフィーレ達はゼルートの力がなければ倒せなかったと思っており、ゼルートに宝箱を譲ろうとした。その事に、珍しくローガスが反論していないところを見て、全員の総意なんだと分かる。


だが、ゼルートは自分が手助けをしなくても、セフィーレ達がジェットイーグルに勝てた可能性があるのを知っていたので受け取らなかった。


そしてゼルート達が二十一階層に降りると、階層の形は一階層から十階層までの洞窟型に変わっていた。

だが一つ変化があった。全体的な空間の大きさが、一階層から十階層より広くなっていた。


「・・・・・・アレナ。この変化をどう見る?」


「そうね・・・・・・まぁ、単純に一階層から十階層に出てくる魔物に比べて、体格が大きな魔物が出てくる可能性は十分にあるわね。あとは・・・・・・もしかしたら土や岩系統の魔物が出てくるかもしれないわ」


「なるほど。確かに理にかなっているな。それで、今日はどの程度進行しますか。俺としては、皆さん戦ったばっかりなので、もう少し休憩してから出発して、いつもより速く攻略を斬り上げた方が良いと思うんですが」


ゼルートの提案にセフィーレはほんの少しだけ考え、即決した。


「そうだな。体力面は元に戻っても、戦いですり減った精神面は自分達が思っているより回復していない可能性もある。ゼルートの言う通りもう少し休んでからパースを落とし、いつもより攻略の時間を短くしよう。また地形も変わって、魔物の強さも変わって来る。今日はそれに慣れるのに使おう」


それから、ゼルートが軽くつまめるサンドイッチや串焼きと飲み物を全員に配った。

この時ローガスも疲労が溜まっていたのか、断ることをせずに串焼きと飲み物を受け取った。


休憩を始めてから三十分後、セフィーレ達の体力、精神力が戻ってきたことで、ようやくダンジョンを進み始めた。


『ゼルート様』


『ん? いきなり念話でどうしたんだ。腹でも減ったか?』


ゼルートは半分冗談だが、ラルは基本的に多く食べるので半分は本気だった。


『この先に出てくる魔物で、私は満足・・・・・・は出来ずとも、多少は楽しめる戦いは出来ると思いますか?』


ラルの質問に、ゼルートはどう返したらいいか少し悩んだ。


『そうだな・・・・・・ここから先は、Cランクの魔物も結構出てくるだろうし、ラルが戦う条件に足だけでとか、翼だけ、尻尾だけで戦うっていうのを加えたら、ちょっとは楽しめるんじゃないのか?』


『そうですね。ゼルート様の言う通りに闘えば、少しは楽しめるかもしれませんね。まぁ、私としては魔物の大群が来てくれれば、少しは暴れて欲求を満足させることが出来ますが』


ラルの魔物の大群と言う言葉に、ゼルートは苦笑いになった。


『おいおいラル。それは流石に不謹慎だぞ。仮にも護衛依頼なんだからな。でも、もし本当に魔物の大群が来たら、俺とお前と・・・・・・後ルウナとアレナのどっちかで対処する。だから、さっきも言ったけど不謹慎だが、来る事を祈って楽しみに待ってろ』


『そうですね。楽しみに待たせてもらいます』


ゼルートは遠慮気味に言っているが、結局一人と一体が戦闘狂な事に変わりはなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る