最終話~オープニング2~

GM:影裏のオープニングだ。シーンインをお願いするよ。

影裏:シーンイン!(ダイスころころ)10点……わぁい、オープニングからダイスボーナスだぁ……。


 最初のシーンで61%まで上昇した影裏の侵蝕率。だがこの時、GMは愉悦の笑みを隠しきれなかった。



 影裏は暗い海中のような場所を揺蕩たゆたっている。呼吸をする必要もなく、かといって苦しくもない。

 上も、下も分からない空間の中、周囲には小さな泡沫ほうまつが同じように漂っている。

 どうして自分がここにいるかは、直感的に理解できた。

 過去の時点で死に、現在の自分が存在できなくなったからだ。

 だが──影裏という自我は、確かにここに存在している。


影裏:「(まるで揺りかごの中だな……。

 時貞の奴が歴史に介入した、と見るのが可能性が高いか。

 となると、俺がいるここは──)」


 現状認識に努める影裏の元へ、ひとつの泡沫が漂いながら、向かってくる。

 てのひらほどの大きさをしたそれには、小さな女の子と若い男性がボヤけるように映っている。


影裏:「(この子は……年恰好は違うが、遠藤か?)」


 泡沫は、ゆっくり、ゆっくりと近付き……影裏に触れた瞬間に。


影裏:「ッ──!」


 地球の歴史、ガイアの記憶が流れ込んでくる──。

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