短編まとめ
ハイジ
折れた。
これから僕の昔話をしようと思う。
僕が住んでいたのはとある豪雪地帯の平凡な住宅街。雪が積もると外ではろくな遊びができなかった。
当時は今のようにゲームとかなかった時代だから、小学生の僕たちは本当に本当に退屈で仕方なかったんだ。
そこで、だれが言い出したのかはわからないけれどある遊びが流行ったんだ。
どんな遊びかって?ものすごくシンプルな遊びさ。傘を開いて屋根から飛び降りるんだ。
雪が積もって相当な高さになっていたし、傘も小学生の体重くらいなら支えられたんだと思う。
だけれど、当時の僕はビビりで飛ぶのが怖かったんだ。だから「傘が折れちゃうよ」とか適当な理由をつけて見ているだけだった。
ところがね、ある日屋根から飛んだガキ大将が大きな声で叫んだんだ。「お、折れた!」てね。だから僕は胸を張りながら言ったんだ。「僕の言ったとおりになっただろう?」って。
でも、そいつは泣きそうになっていた。「そんなに怒られるのが怖いのかい」と聞いたら、首を振りながらこう言ったんだ。
「折れたのは僕の足の方だ」ってね。
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