詩集『ちっぽけな日常とありふれた詩』

花祭暁平

ちっぽけな日常

ごくたまに

自分自身をちっぽけな人間だと

思うことがあります


ベッドを飛び起きて

時計にかされながら身支度をするだとか


コンビニ弁当のパッケージを破いて

素朴な味にしみじみと舌鼓したつづみを打つだとか


も気温も落ちた暗がりに身をふるわせて

ひとりすたすたと住宅街を抜けていくだとか


ちっぽけな人間の

ちっぽけな日常ですね

ちっぽけすぎて退屈に思えます


でももしかすると

自分自身、だけじゃないのかもしれません

人間そのものが、ちっぽけなのかもしれません

人生そのものも、生きている世界も

いだく悩みも苦しみも、喜びや楽しみでさえ

とりまくものすべて、ちっぽけなのかもしれません


だけどもわたしたちは

ちっぽけながらにおっきなしあわせを

ふと感じられるからすごいですね


明かりもつけず

朝日だけに頼った部屋で

コーヒーをすするとき


人目も気にせず

の光をめいっぱい浴びて

友だちとみたいに騒ぐとき


寄り道もせず

白い月に見守られて

安らぎのみかに近づくとき


ちっぽけな人間にとって

ちっぽけな日常を送れることこそが

おっきなしあわせなんですね


ちっぽけながらに

おっきな勉強になりました


ちっぽけな日常に感謝をこめて

毎日毎日、ありがとうございます

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