山田 Ⓒ

月の王

月は白く 地上の君の

双眸にも確固たる

夜は無情にも君を指す

嗚呼 万感の未来燦々と


数多の影に 外道が一人

月との溝を今埋めて

拓けた道に 君は佇み

影へと消えた人を見る


穢れた後もなおうつくしき

星へと君の名を彫ろう

空行く船がトロッコに言う

かつては消えた星の詩


月が生む影を

トロッコは運び行き

月に行く船へ

外道の名と感嘆を降らす


月は白く 路上の君へ

錆色の銃の価値を問う

勝利の酔いを投げ捨てて尚

行くべき道に今もいるかと


外道は今もその身を削る

君が眠る間にも

その一面の道を認めず

叶わず消えた人を知る


遂に得たあの王座を捨てた

語るべき君の美しさ

道を開いた外道は今や

月の王となり


月で得た知恵を

交う船が運び行き

陸を行く影へ

君の名を知らせる


月が知る声が

トロッコに響いて

空を行く船が

君の名を知らせる


咲くべく咲いた

花よ乱れよ

飛ぶべく飛んだ

鳥よはばたけ


満つべく満ちた

月よ照らせよ

照るべく照った

太陽のように


成るべく成った

道よ続けよ

富むべく富んだ

人よ止まるな


吹くべく吹いた

風よ誇れよ

行くべく生きた

君の名を

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る