紫音と狂気のサラ
翌日、銃を携えてピックアップトラックの中へと入って行く。
「楽しみね、シオンくん」
「そうですね」
そう、今日は羽田空港にやって来たサイボーグの起動試験に急遽参加する事になったので、みんなで羽田空港へ行く事になったのだけれども、1人だけ不機嫌そうな顔をしている。
「何だよ工藤の野郎、起動試験って。テメェんところにたくさん従業員を抱えてるんだから、そいつらを使いやがれよチクショウ」
「まぁまぁ天野くん。お金を貰えるんだから、そうカリカリしなくてもいいんじゃないかな?」
「そうよ。そう言うのなら断ればよかったじゃないの!」
「馬鹿野郎。通常よりも1.5倍の料金を貰えるんだから受けるに決まってるだろ」
結局お金の為に受けてるじゃん。
僕を含めた全員が、不機嫌そうにしている天野さんを見つめてそう思うのであった。
「アメリカから持って来たサイボーグは、どんな格好をしているんですかね?」
「・・・・・・さぁな」
天野さんはそう言ってふて寝の態勢を取り、リュークさんはピックアップトラックを発進させた。
「話によるとカッコイイって聞いているよ」
「カッコイイ!」
「そして、刀を装備しているってさ」
「ニンジャみたいな格好かしら?」
リトアさんはそう言うと、目を輝かせながらリュークさんに迫った。
「そうとは限らないよ。もしかしたら武士みたいなのかもよ」
「サイボーグで武士って、私想像が付かないんだけどぉ〜」
「やっぱそう思うねぇ〜」
リュークさんは運転しながら困った顔をさせている。
「まぁ羽田空港に行けば姿を見れるから、そんなにはしゃがなくてもいいんじゃない?」
「そうだけど、私は楽しみなの!」
「シオンくんも楽しみでしょ?」
「え、まぁはい。楽しみですよ」
リトアさんほどじゃないけど、どんな姿をしているか楽しみにしいている。
「えいっ!?」
「うわぁっ!?」
リトアさんが僕に抱き付いて耳をモフモフして来た。
「もぉ〜、シオンくんノリが悪いんだからぁ〜・・・・・・お姉さんからのお仕置きよ」
「単にリトアさんが僕の耳をモフモフしたかっただけですよね?」
「ん〜・・・・・・違うわ」
嘘だ! 絶対にそうに決まっている! だって満足そうな顔をしているもん!
「シオンくんの耳フワフワァ〜、何時触っても飽きないわぁ〜!」
「ちょ、ちょっと! そんな撫で方は止めて、ヒィッ!?」
羽田空港に着くまでリトアさんのモフモフ攻撃は続き、着いた頃にはヘロヘロになってしまっていた。
「リトア、お前やり過ぎだ」
「だって、可愛い反応をするシオンくんが悪いんだもん」
「いんや、加減しないお前が悪い」
「うう〜・・・・・・もう着いたんですかぁ?」
リトアさんの膝元から上体を起こして天野さんに確認をすると、呆れた様子で ああ。 と返事をしてくれた。
「あ、天野くん。先に降りて行って貰えるかな?」
「ハァ? どうしたリューク?」
「いや、そのぉ・・・・・・ねぇ」
「ん? ・・・・・・あ」
天野さんは何かに気付いた様子を見せた後に、何とも言えないような顔付きで僕達を見つめる。
「ああ〜、俺達は先に降りて行くぞ」
「え? どうしてですか?」
羽田空港の出入口じゃなく駐車場に停めたのだから車に乗っている意味はないから、もしかしてリュークさんは別行動を取るのかなぁ?
「紫音、行くぞ」
「あ、はい!」
天野さんにそう返事をしてからピックアップトラックを降りるけど、反対側から降りているリトアさんが何が可笑しいのかわからないが笑いながら降りて来た。
「PMCのガンショップ前で待ち合わせだ」
「わ、わかったよアマノくん」
天野さんはリュークさんの返事を聞いた後に階段に向かって歩き出して、リトアさんが僕の手取って引っ張って来た。
「リュークの心配はしなくても大丈夫だから、行きましょうシオンくん」
「え、はい」
目を逸らすリュークさんを心配した目で見つめた後に、リトアさんと共に天野さんの後を追うようにして歩き、ガンショップ前に来た。
「シオンくん、ちょっと暇だからガンショップの中覗いてみようか? いいでしょアマノ?」
「ん、まぁ。それぐらいなら構わないぞ」
「やったぁ! それじゃあ行きましょうか!」
「え? あ、ちょっ!?」
リトアさんは僕の背中を押して、ガンショップへと連れて行かれた。どうやら僕には拒否権はないみたいだ。
「さぁ〜て、何かセール品でもないかしらぁ〜?」
リトアさんはそう言ってから、店内をキョロキョロして歩き回った後にジャンク品の箱を漁り始める。
「う〜ん、このパーツは使い物になりそうにないわねぇ。こっちの方は私のAKMに合いそうにないわね〜。
こっちのパーツはアマノが欲しがりそうね〜」
リトアさんがそうブツブツ言いながら物色をしている姿を近くで見つめていると、後ろから服の裾を引っ張られた。
ん? この臭いは・・・・・・。
「サラさん?」
そう言いながら振り向くと彼女は血走った目で僕を見上げていたので、ビックリして毛を逆立ててしまった。
「あら、サラ。どうしたの、そんな獣のような目をして? もしかしてシオンくんを襲おうとしているの?」
「違うわ。これについて紫音くんに聞きたいのよ!」
彼女がスマホで観せて来たのは何と、リトアさんが撮影した僕の写真だった。
「サラさん、何でその写真を持っているんですかぁ!?」
「リトアから貰ったのよ!」
「えっ!?」
元凶と思しきリトアさんを見つめたら、ニコニコ顔をさせながら僕を見つめていた。
「サラにその写真の事を話したら、その写真欲しいって言われたのよ。
シオンくんが嫌がるから諦めてって言ったんだけど、しつこくお願いされてね。ゴメンね、シオンくん」
何だってぇ!?
「この可愛い姿をいつ何処で撮ったの? アナタが何歳の時に撮った写真なの? 答えなさい紫音くん! お姉さん怒らないから正直に答えなさい!
お耳と尻尾のモフモフの刑にされたいのかしら?」
スゴイ剣幕で僕に詰め寄るので、もうタジタジになってしまっている。
「オネエちゃん。もうヤめてあげたら。彼困ってるよ」
サラさんの後ろに顔を向けて見ると、そこにはサラさんと同じ金髪の女性が立っていた。
右目が緑色で左目が青。オッドアイ?
「で、でも。私は気になるわ! 今すぐに女装をさせてみましょう! きっと似合うわ、私が保証をするから!」
何ですかその手の動きは!? サラさんあ恐いよぉ〜!!
「もぉ〜、イヌやネコの事になったら、スグにこうなるんだからぁ〜。ホント、オネエちゃんはそういうところは変わらないのよねぇ〜」
「サラは昔からそうなのか、コニー?」
工藤さんが呆れた顔させながら、こっちに近づいて来ていた。
「そうですよぉ。オネエちゃんはモフモフ関連のコトになると、こうなるんですよぉ〜」
「ハァ〜・・・・・・サラ、そんな事をしていたら紫音くんに嫌われるぞ」
「そ、それでも私は紫音くんに可愛い格好をして貰いたいわ」
その可愛い格好って女装の事ですよね! 僕は絶対にやりませんからね!
「紫音くんの耳をモフモフ出来なくなるけど、いいのか?」
「よくないから・・・・・・我慢するわ」
よかった。思い止まってくれて。
「その代わりと言ってはなんだけど、シオンくんの耳を好きなだけモフモフしてもいいわよ」
「ホント!?」
「ええ、サラずっと我慢をしていたものね。好きなだけモフモフしていいわよ」
「やったぁ!?」
サラさんはそう言ってから僕の側まで来たら耳に手を伸ばす。
「届かないから座って、紫音くん」
「あ、は、いっ!?」
膝立ちになった瞬間、サラさんに抱き締められて耳をモフモフされたのだ。って言うか、オッドアイの女の子の紹介をして欲しいですけどぉおおおおおおおおおおおおっ!!?
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