オタクな家族

貴宮アージェ

第1話 オタクな自己紹介

そんなこんなで唐突ではあるが僕たちの自己紹介をしていきたいと思う。

ボクはダンナ、本名を出さないのは何というか気恥ずかしいというかそんなところだ。

職業は物書きで主に同人などの2次創作がメインな仕事の25歳だと言っておく。

自他共に認めるオタクで主な分野はアニメやゲームや漫画が中心だ。

その関係からか他の分野に関しても手を伸ばしているが基本は広く浅いといったところ。

元々ボクはサラリーマンで所謂脱サラだ。

そうした理由は昔から創作が好きで何らかの形で自分の作品を

趣味としてではなく職の形にしたくて思い切った次第である。

両親からは色々と言われたが納得してくれた。

無論ボクのことも心配してくれたが一番両親が心配したのが“彼女”のことだろう。


???「おーいダンナー。コーヒー淹れたけども飲むー?」


ドア越しから自分を呼ぶ声を聴いたボクは腕と背中を同時に伸ばし一息入れよう席を立ち、リビングへと向かうべくドアを開けた。


ボク「うん、ちょうど一息を入れたかったんだ、お願いできる?」

ヨメ「了解~。あ、砂糖とミルクは自分で入れてね」


出てきたボクにそう答えながらコーヒーとコップを持ったトレイを持った女性は

リビングのテーブルへと足を運んでいた。

そう彼女はボクの奥さん。ここではヨメと表記させてほしい。

彼女の職業はイラストレーターでボクと同じく2次創作がメインだ。

ヨメとは高校生の同級生で大学は別だったのだが

とあるイベントで偶然再会してからの付き合いといった次第である。


ボク「ふぅ~五臓六腑に染み渡る~」

ヨメ「そんなセリフが出る、ということは結構煮詰まってるって訳ね…」


アタリ、という仕草をしてボクはカップをテーブルに置く。

おかわりは?というヨメの仕草にお願い、と答えボクはおもむろに身体を伸ばす。


ボク「頭の中ではまとまってもそれを文章に纏めるの苦労してるんじゃまだまだだよな~…」

ヨメ「商業ならともかく今は同人メインならもうちょい気楽でいいと思うわよ」

ボク「まあそうなんですけどね~」


おかわりのコーヒーをズズっと飲みながらボクはヨメの言葉に答える。


ボク「でも覚悟してきた世界なんだ。有名とはいかなくても皆に楽しんで貰える作品は作っていきたい!!」


ダンナの言葉にヨメは無言だがとても嬉しそうな表情を浮かべてその頭に抱きつく。


ヨメ「それでこそ、ワタシのダンナよ!」

ボク「く、くるしい!?」


苦しむダンナを余所にヨメは更にダンナの頭を自分の頭でスリスリする。


ヨメ「結婚前に脱サラすると言った時も結構悩んでたけどもやっぱその決断力と意思の高さは流石だよ~」

ボク「ボクとしてはもしかしたらキミに猛反対されるんじゃないかって不安は結構あったけどね…」

ヨメ「そりゃあ、優柔不断だったらすっぱりとやめんなってバッサリ切るけどね」


いやホント凄い嫁だ、とボクはひどく感心した。

だから何だろう。

ボクが今の状況を“楽しめている”のもひとえに彼女のお陰なんだと


ボク「ありがとう」

ヨメ「~~~~!!!」


言葉にならないのかヨメは更にギューギューと抱きしめるのであった。

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