第39話 令和に入って初フィッシュ!

 世間では連休。

 でもウチは日配品を製造する会社なので、飛び石を埋めて纏まった連休を取るとか無理。有給はあるけど取らせてもらえないのでどうあがいても暦通りが精一杯。


 他の人間が休みなのに、なんでオレはこげなしょーもねー仕事しよるん?こげなクソ会社、ゼッテー辞めてやる!


 ダダ下がりのテンション。

 そして、


 は~~~…


 特大のタメ息。

 不貞腐れながら仕事をしていると、休み時間になったタイミングで幼馴染から「釣れた!」とのメッセージ&写真。

 どーやらフツーのベイト&ゲーリー4インチヤマセンコーのストレート掛けノーシンカーで釣ったご様子。

 その後もポツリポツリと釣果の報告をされ、羨ましさが頂点に達する。

 釣った場所を聞くと、割と近所にあるけど選択肢には入ってなかったダム。

 このダムって坊ちゃんがチーサイ時行ったのが最後だから、13~4年ぶりぐらいになるんよね~。

 とゆーワケで休みに入ると即実行に移すのです。


 選んだタックルはこげな感じ。

 一本目はスピニング。

 ブラックレーベルSSS6101MLXS+ルビアス2506。糸はフロロ5ポンド。


 二本目はベイトフィネス。

 ブラックレーベルPF6101MLFB+SS AIR8.1R。糸はフロロ8ポンド。


 三本目はフツーのベイト。

 ファンタジスタYABAI69MH+リョウガ1016H。糸はフロロ16ポンド。


 幼馴染はフツーのベイトで釣っていたけれど、プレッシャーはかなり高いと思われる。

 なので、弱めのタックルにしてみた。


 こいつらをハイエースにぶち込み、発射オゥルライト!



 幼馴染からおしえてもらった駐車スペースにクルマを止め、降りられそうなトコロを探す。

 遊歩道をちょびっと歩くと「いかにも」な入口発見。

 急斜面でガレガレ。二回ほどコケつつポイントに辿り着くと、これがまたなんとも醸し出しておりまして。

 水はE感じの緑色で、透明度もちょうどいい。

 底の様子は岸と同じガレガレ&立ち枯れ&スタンプ(木の切り株)。

 足元から急深だけど、ほんのちょっと歩けば浅い場所もある。

 変化に富んでいて、「ダムはこうでなきゃ!」って感じのシチュでございます。


 最初に選んだタックルはスピニング。

 ルアーはゲーリーヤマモトディッシュワームで、リグは小さめのスプリットショット。



 一投目。

 岬状に貼り出した地形の先端に向かってキャスト。

 風が強く、糸が大きく流された。

 余分な糸は回収しとかないと、風下側へ大きく弧を描いてしまっている。糸が着水してから巻くと狙いたいポイントから逸れてしまうのよね。だから、糸が水面に落ちる前にできる限り回収し、真っ直ぐにした後底を取る。のだけど…糸の動きが全く分らない程の爆風。

 結局糸は風に流され狙いたいポイントから大幅に逸れてしまう。


 回収し、少し方向を変えて風下にある小規模ワンドを狙う。ここはポイントに降り立った時から魚が跳ねている。テンション上がりまくりでキャストする。

 風で着底の判断がイマイチしにくいから、20秒くらい待ってアクション開始。

 ゴリゴリとした感触が伝わってくるので底は取れている。

 小さくサオ先をあおり、底で蠢くエビをイメージしながらアピールしていると、


 モッ…。


 ゴミを引っ掛かけたような感触。

 生命感っぽくはないけど魚だったら飲まれてしまうパターンなので、念のため一呼吸置いてアワセを入れる。すると、ビニール袋っぽい感触がサオ先に残る。


 やっぱゴミ?


 巻くと徐々に寄ってくる。

 が、ある程度寄ってきたところで、


 バシャバシャ!


 突如エラ洗い。


 やった!バスやん!


 予想外の展開。

 水しぶきの感じから小さそうだけど、それはそれ。


 どんな大きさでも、どんな魚でも、自分の相手をしてくれる魚はみんな等しく嬉しいのですよ。


 リールを巻くと横っ走りしながら寄ってくる。

 足元まで寄ってきた時、姿がはっきり見えた。

 20cmくらいの可愛らしいバス。

 これくらいなら5ポンドフロロでも余裕で抜き上げられそう。糸をサオの長さほど残し、のべザオの要領で抜き上げた。

 ピチピチ暴れるバスの下アゴを掴み、ハリを外す。

 改めてマジマジと観察。

 お腹がポンポコリンに膨らんだカッコイイ魚。

 多分産卵には関係してなさそう。エサをしっかり食えているからこの体型なんだろう。

 記念撮影し、リリース。

 足場がちょい高いから、申し訳ないけどそっと水に投げ入れてやると、勢いよく深場へと去ってゆきました。



 一本釣ってかなり気持ちに余裕ができたため、ベイトフィネスを試す。が、異常無し。

 再度スピニングに持ち替えてはみたが、異常無し。

 生命感はまだまだあるのに見切られたっぽい。


 少し浮かせたトコロを狙うため、リグを1.5号ナス型オモリのダウンショットへとチェンジする。

 ルアーはゲーリーヤマモトのアングリースティックで、カラーコード000という半ソルのヤツ。

 セットし終ると、先程釣れたワンドの少し沖目を狙う。

 底を取りながら引いてくると、


 ん?


 突如動きが止まる。

 アタリっぽくはない。ガレガレに引っ掛かったような感触だけど、魚だった場合ハリを飲まれて大出血するのでイチオーアワセる。すると直後モーレツな勢いで走られ、


 ジ―――――ッ!


 ドラグが出た。


 やっぱ魚やったか!


 必死こいてリールを巻くと、かなり沖の方で


 バシャバシャ!


 ド派手なエラ洗い。

 めちゃくちゃデカいワケじゃなさそうだけどエライ強い!

 なんか…巻いても巻いても寄ってくる気がしない。

 ドラグを滑らせながら巻きまくる。

 改めて、


 スピニングで掛けたらこげん強かったんやな。


 痛感する。


 楽しい!

 でも怖い!


 久しぶりに味わう感覚。


 そーいえば…


 よくよく考えてみれば、ここ最近スピニングじゃチビ以外釣ったことない気がする。とゆーのも、30cm超えるととんでもなく引きまくるから、バラしたくない一心でスピニング投入しなかったのよね。

 だから大きいの釣ったのは、去年の夏。隣町の奥地にある中規模リザーバーで釣ったガリガリに痩せ細った回復しきれていない40UPのアフターが最後。


 とゆー回想は置いといて。


 スタンプあるから巻かれそうで…気が気じゃなのよね。

 サオを立て、走る方向に意識を集中させがらファイト。

 どうにか寄せてこれたのだけど、足元で反転した時見えた姿は引きから想像していたよりもはるかに小さい。

 浅場の砂地に引き摺り上げ、下アゴを掴み、どうにかこうにかランディング成功。

 ハリを外し、マジマジと眺める。

 スリムだけど、お腹に不自然な凹みはない。

 とゆーことは多分男の子。




 そしてここで気付く。


 そーいや今日が令和に入って初めての魚やん!


 メモリアルフィッシュじゃ~あ~りませんか!

 ここんとこボーズ続きで釣れる気しなかったから、令和初フィッシュはもう少し後になるかと思いよった。


 釣れてくれてありがとう!


 帰ってちゃんと測ってみると33cmでした。

 めでたしめでたし。




 そして今日はちょっとしたお土産が。

 釣りしていて目についた菱形の白っぽい何か。

 もしや!と思い拾い上げてみると、ダイワの名作、T.Dバイブ。

 紫外線による劣化で色が薄くなっており、ボディの合わせ目も若干開き気味。でも、エポキシ系の接着剤流し込めばなんとか使えそう。

 今後は自分の武器として活躍していただくことに致します。

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