ハーフエルフの想い
最近、毎日がとっても楽しい。
アレイフとミアとでパーティを組んで本当に良かった。
ミアと2人の頃は簡単な仕事ばかりだったし、同じ傭兵団の人達ともこんなに話をすることはなかったかもしれない。
傭兵団は人族が多い。
当たり前か。
私やミアはハーフのエルフ族と獣人族。
人とは見た目も寿命も違う。
さすがにこの傭兵団なら差別とかはないけど、それでも打ち解けられるかといわれたらそれは難しい。
話はするけどそこまで仲良くはない。
どこか腫れものみたいな扱いをされていた気がする。
ミアはああいう性格だから誰にでも話しかけるけど、私はどっちかというと話をするのが得意じゃない。
よく言葉が足りないと言われるけど、人と話すのって難しいと思う。
不必要な言葉は相手も迷惑?
この言葉はなくても伝わるんじゃないか?
話そうと思う言葉が口から出る前に、先に頭で考えてしまって、いらないんじゃないかと思う言葉を省いていくと結局言葉が少なくなる。
私ならこれで十分だと思う言葉の量でも、他の人からしたら足りないらしい。
だから私は人と話すのが苦手。
私の伝えたいことがうまく伝わらないから。
以前はミアとライラぐらいしか話し相手がいないぐらい。
でも、最近はいろんな人と話すようになった。
みんなアレイフが来てからだ。
彼はすごいと思う。
私達とパーティを組んでから、自分よりずっと年上の人達と話をして気に入られてる。
最近だと、私達が所属してるライラの部隊だけじゃなく、ブッチやチルのところからも頻繁に声がかかるし、他の部隊の人からも声がかかることが多くなった。
なにより、ほとんど仕事をしていないように見える呑んだくれのナットまで、アレイフとは仕事に行こうとしてた。
アレイフの魔法はすごい。
彼がいるだけで怪我をする確率がグンと減るし、なにより一撃必殺っていってもいいぐらいの魔法を持ってる。魔力切れを起こすことも多いけど、そんなの大した問題じゃない。
同じ風属性でも、ハーフとはいえエルフの私よりもずっとすごい。
でも、それだけじゃない。
みんな魔法の加護がほしいからアレイフを誘ってるわけじゃない。
私には分かる。
特に人族以外のナットやチルの部隊の人は違うと思う。
嬉しいんだ。
傭兵団の仲間なら差別はないけど、それはあくまで傭兵団の仲間だから。
周りの目は違う。
私やミアがフードを深く被っているのも、ナットがあまり外にでないのも、仲間以外の人達の目が怖いからだ。
嫌なことを言われることもたくさんあった。
理不尽に石を投げられたり、あからさまに避けられたこともある。
大人はまだいい。思うだけで声に出さない人も多いから。
でも、子供は違う。
大人の対応を見て、子供は口にだして私たちに辛辣なことをいう。
みんなそんな経験をしているから、子供は特に苦手なはずだ。
だから傭兵団にアレイフが入ったとき、人族以外の団員はみんなすこし距離をとっていた。
私はわかってたからなんともなかったけど、はじめて傭兵団にはいる人族の子供を見てみんな戸惑ってるみたいだった。
でもすぐにわかった。
アレイフは違う種族の私達にも普通に接してくる。
ナットやチルの部隊の人達はきっとそれが嬉しかったんだと思う。
大人はともかく、人族の子供とまともに話したことはなかったはず。
まぁ私もなかったけど。
それにアレイフはかなり面倒見がいい性格だから、泥酔して同じ言葉をひたすら繰り返しているナットの相手もちゃんとしている。
私にはマネできない。
依頼を受けて一緒に行動している間も、みんな昔よりよく話してる。
そのおかげで私もいろんな人と話をするようになった。
だから毎日が楽しい。
休みの日もアレイフのいる孤児院によく行くようになった。
ミアも一緒。
あそこの子達はみんなアレイフみたいに素直で可愛い。
このままいけば、いつか傭兵団でアレイフが副団長になる日がくるかも知れない。
もちろん私とミアは同じ部隊で、その時もパーティを組んでいるはずだ。
ミアは彼の背中を守るといった。
じゃあ私は彼とミア2人の背中を守ろう。
そして3人でいろんな任務をこなしていきたい。
それはきっと、今よりずっと楽しいに違いない。
私たちはパーティなんだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます