第2問 クラスメイトとしたくない話題は?
「嫌だぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! 塾だけは嫌だぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
――
母から淡々と告げられたその日。
中学生にもなって見っともないかもしれないけど、そんな風に叫びながら床をゴロゴロしたい気分だった。
……でも。
流石に自分でも事の重大さに気付いていた。
いくら成績不良の僕でも、完全に理解している。
やばい、やばいってこれは……。
点数は勿論だけど、157位って。
僕より順位低いやつの大半は、おそらく、普段教室でイキってる正直関わりたくない人種。
あと1、2年後ほぼ確実に不良に堕ちるような奴だけという事実!?
(※これはあくまで極めて個人的な僕(210点)の偏見です。不良にも勉強ができる子はいます)
夏休み中は部活に明け暮れ、
夏期講習に行くことも自主勉強することもなく、
宿題もラスト1日ゴール前、怒涛の追い上げで片付ける――
そんな意識低い系の僕は、夏休み明け一発目のテストで歴史的大敗を喫した。
自信が確信に変わった。
僕は、勉強ができない……!
てか、30点台の教科が3つって!
これは評定にかなり響く。
1学期は5段階評価で社会と音楽が「4」、その他が全て「3」だった。
ノートや問題集、日々の宿題はちゃんとやってたから、テストがゴミカスでも大目に見てもらえたけど……。
ものには限度がある。
流石にこのままだと次の評定ではアヒルさんが大量発生しそうだ。
中学1年の、2学期時点で……。
正直、もう友達とテストの話をするのが辛い。
「ヒッシー、テストどうだった?」
「400超えた?」
「10位以内入った?」
「や、やばかった……」
「でも60くらいは取れたでしょ?」
「いや60は誰でも行けるだろ」
「ヒッシー舐めんなよ! 平均80くらい余裕だから!」
「あはははは……」
テスト返却後、友人たちとの話題は点数のことで持ち切りだったけど、僕は曖昧に答えることしかできなかった。
平均80って、雲の上だわ!
誰ですか、そのヒッシーさん!?
なんか勉強できる人だと思われてる!?
大体、60点って嬉しさのあまり奇声上げながら廊下走るレベルだよ!
……って、正直に言えたら楽なんだけどなぁ。
言えないよ、だって30点台連発だもん。
「いや、ヒッシーはそんな点――」
「やめろ!」
お前は僕を社会的に殺すつもりか、カズ!
僕のテストの点数を知っている数少ない学友のカズ。
カズはクラスメイトで、同じ野球部だ。
頭の出来は同じくらいでテストの度に点数を競い合っている。
それから、お互い姉が――勉強のできる姉がいる。
カズには2つ上に美人なお姉ちゃんがいて、生徒会副会長とソフトボール部副部長を兼任しながらも成績優秀だそうだ。
お互い、低レベルな点を取っても恥ずかしげもなく見せ合えるのは、優秀な姉をもつ者同士、この痛みや苦しみを分かりあえているからかもしれない。
不出来な弟は辛いよ。
なあ、そうだろ……カズ?
「まあまあ、終わったことでくよくよしてもしょうがないよ」
超ポジティブ!?
くよくよしてもしょうがない、か。
その切り替えの速さは見習わないといけない。
そして、次の定期テストを機に。
僕(210点)の逆襲が始まるのだ――
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